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予算“0”の「ソフト壁」
1 予算“0”の「ソフト壁」
今住んでいるマンションの2LDKの間取りの壁を“溶かして”透明な子ども部屋をつくる?
分譲住宅の住みにくい間取りの壁を溶かして好きな動線の間取りに直すとは一体どういうことなのでしょう?
実は2LDKなどの狭い住まいの間仕切りを溶かして透明にして新しいプランをつくる。リフォームで私がよくやる手法の一つです。部屋の間仕切り壁であって壁でない・・・この手法を私をして“ソフト間仕切りを“ソフト壁”と称しているのです。これを悩みの“子ども部屋”や“間取りの改変に応用するのです。
今の2LDKで親子3人の家族がどう住んでいるかを考えて見ます。2LDKの二つの6畳の部屋のうち一つを小学生の子どもが一人で堂々と使い、もう一方の6畳の寝室は大人の夫婦二人のベッドは置けません。当然床に布団を重ねるように敷いて寝ることになります。しかもそこにタンスや家具が置かれることになりさらに狭く、それらに挟まれて寝ているのです。これは狭いばかりか地震でも着たら大変危険です。
そこで今の6畳の子ども部屋の真ん中を、寝室に置いてあったタンス2本で区切ってベランダ側を3畳の子どもコーナーにするのです。手前の残りの空間は納戸的な“何でも収納”とし家のすべてのものをここに置きます。夫婦の寝室もタンスもなくなり広くなります。親子そろって3畳ずつ均等になりました。
その狭くなった子どもはと言うと、まるで操縦席のようになった部屋で大喜びです。このタンスの間仕切りは部屋を壊すことなくしかも家具を置くだけでできます。まさに予算“0”の「ソフト壁」と言えます。
2LDKの6畳を納戸と子どもコーナーに(画:天野彰)
2 “ソフト壁”によって、親子の関係もソフトに
タンスなどと天井の間に空間があるとなぜ倒れる?(画:天野彰)
この間仕切りのタンス地震が来ると上が中空だけに片方が持ち上がって回転し倒れてしまいます。(イラスト2参照)そこでタンスの上に天井までぴったりの丈夫な箱をつくりそれを押し込んで、そこも新たな収納にするのです。これによってタンスは回転できず床と天井にしっくり固定されます。これこそ突っ張り棒ならぬツッパリ箱ですが、この日曜大工、家族にとっては命を救う大手柄となるのです。
さて今度はちょっと手を加えて、昼なお暗くLDKを塞ぐ子どもの部屋の間仕切り壁を思い切って壊し取り去り、LDKと子ども部屋を連結します。するとベランダまでの広く、明るいリビングになります。これでは子ども部屋がなくなってしまいます。そこで、ベランダ側から3畳ほどのところに敷居と天井までの鴨居をつくってそこを大きなガラス戸3枚ほどの引き戸で仕切ります。
その3畳に子どものベッドと机を置きます。リビングから見るとまるでサンルームのようなところが子ども部屋となります。しかも丸見えです。もちろんこれでは落ち着きません。そこでガラス戸の内側にレースのカーテンと遮光カーテンを2連取り付けます。
3畳の子どもコーナーとリビングを “ソフト壁”で自在に区画(画:天野彰)
ガラス戸を閉めて遮光カーテンを閉めると、音を通さず、光を通しません。そうですこれは“壁”です。が、子どもは朝になれば学校に出かけます。ガラス戸とカーテンを開けます。すると子ども部屋を通してリビングは一体となり明るく風も通ります。これこそがまさしく“ソフト壁”なのです。この“壁”子どもは最初は閉めて勉強などしていますが、次第に慣れて、開けっ放しで宿題をやるようになるのです。この“ソフト壁”によって住まいもソフトになり、親子の関係もソフトになるのです。
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