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建築家 天野 彰 「場取り」のLDKプランニング~IT社会では「間」ではなく「場」

1 「場取り」のLDKプランニング~IT社会では「間」ではなく「場」

家族を各「個」と考えるとその「個」と「個」の間に生まれる空間こそがまさしくメディア的空間、媒体的空間となりそこが家族みんなの居場所となります。そこは決まった形があって何かをする部屋でもなくたまたまコーチやテレビや飾り棚そのほかオーディオやピアノなどが置かれているホテルのロビーやラウンジのようなもの?で、そこに面してキッチンセットやバストイレなどの設備が配されているのです。そこでコーヒーや料理が出てくればティールームでありダイニングであり、風呂に入ればリラクゼーションのコーナーとなり、映像や音楽が流れればオーディオシアターとなるのです。

もとのLD+キッチン
もとの壁で仕切られたキッチンと廊下(天野彰)

もともと私の住まいの設計手法は住む家族それぞれの「場」と「時」を最優先して考えるのです。忙しい現代社会の住まいは得てして家族が帰ってきて食べて寝て暮らすだけのものになりがちです。しかもリビングはおろかダイニングに家族みんなが集まるなどと言うチャンスもあまりないのです。もし家族がまれに一堂に集まったとしても彼らは勝手気ままにモバイルやスマホで外部(社会)と交信しそれぞれにモバイルで社会とネットワークを持ち団らんの時間でも勝手に外部とつながっているのです。現代社会ではリビングやダイニングなどは食うところ居るところで、家族は他のメディアをそれぞれ楽しみ意識は拡散した空間となっているのです。が、私はあえてそここそを“家族のメディア的空間”とし、まさしく家族間の情報あるいは表情を“交流する”「場」とするのです。私はこれをあえて“すれ違いの空間”a life without talkingと位置付けて通り道のように設計するのです。そんな瞬間の中で子育てはもとより、夫婦で顔を合わせ、その表情から葛藤し、喧嘩し、そして恋し、学習し、遊び、愉しみ、創造し、妄想し、歴史を刻み、先祖を祀り、さらに老いて余生を活きるのです。いずれ病に伏しても、社会そして家族とは交流し生を全うするのです。

もとのLD+キッチン
LDKを廊下と一体に キッチンを通らないと個室に行けないキッチンテーブルを通らないと二階に行けないメディア空間(画:天野彰)

住まいはその「時」と「場」の移ろいが大切だと思うのです。そんな家こそ長く住まいやすく、また家族も家も長持ちする家となるのです。イラストと写真はLDKと言うリビングだった部屋の壁を解体し、廊下と一体にして通り道にして大型のダイニングテーブルキッチンしたものです。ここで家族は勝手にコーヒーを入れたり食事をしたり宿題をするのです。

ここで生まれる会話や議論は大いに集中力のあるものとなるのです。

工夫しだいで、家族も家も長持ちするLDKとなるのです
メディア的テーブル空間でのホームパーティーもできる:装置が組み込まれ書斎や仕事場にもなる(画:天野彰)

2 「場」に「時」を加えることが現代の「“間”取り」

核家族でしかも家族のだれもがモバイルやCPで社会と繋がっているIT社会で住まいの設計で忘れてはならないことは、なんと、意外にも近くに居ながらばらばらで、あのLDKはおろかDKや階段ホールのような、“すれ違いの空間”a life without talking の通り道のような「場」こそ、重要なのです。私はこの「場」をあえて現代の“間”と呼んでいるのです。間とは部屋ではなく、あの束の間、またたく間の“間”で、空間ではなく、時すなわち時間の“間”なのです。

今こうして住まいに、生活に時間を取り入れ重視することによって住まいの大きさは最小限にすることができるのです。メディア的空間である“場”を時間差で“多目的な”な機能を持たせることでさらに住まいは縮められるのです。

ジャンボテーブルの勝手気まま家族

その機能とはその場がダイニングながら、家族の勉強の場、あるいは仕事場になるなど、時間差によって多目的にいろいろ変化するジャンボテーブルのような家族が“同時に”勝手気ままにいろいろなことを多重にすることなどです。(右)イラスト1:LDKで家族が集まって勝手気ままなジャンボテーブル(画:天野彰)

この“多目的”と“多重”は既に空間ではなく家屋の生活の時間を重視したものです。同一空間を時間で使い分けることは、一日あるいは行事だけではなく、長い人生の変化にも対応するものなのです。しかも住まいだけではなくビルや病院施設などその機能あるいは用途などまでを随時変化させるコンバージョンの手法とも言えるのです。狭く限られた都市の住まいこそ、私は時間の“間”を重視し、いろいろな実験を繰り返してきました。お茶のお稽古や和服を畳むなどのように和室が欲しい!そんな家族にLDKの壁の中から「床の間付きの和室が出て来る!」折り畳み?和室や、来客の多い家のリビングの片隅に壁からベッドが出て来る “ブルートレイン式客間”などをつくったりもしたのです。

こうした“空間のない「間」”のアイデアの詳しくはのちの機会に譲るとして、これからの住まいは、家族一人一人の日常の行動とその必要の時間差を考えることが重要です。夫婦や子どもを一つの家族としてひとくくりにして「間取り」で考えると、家は今まで通りの「間」すなわち「部屋」の連続体となってしまいます。しかし家族を一人一人の「人間」の「個」としてとらえ、子どもたちが一緒に行動する“時”をつくり、いやむしろ、彼らが一緒に居たいと思える、ふところのような“場”をつくることによって新しい時代の家が生まれるのです。

壁から出て来る“和室”???、ブルートレイン式客間
左:LDの壁から和室が!右:多重ブルートレイン式2段ベッド(画:天野彰)

3 “個”室で失われる家族と夫婦「時取り」と「場取り」

家を建てる時、「間取り集」などと誰が考えたか分からない既成のプランニングによって、人々の生活もまた定型化してしまったのではないかと思えてならないのです。またそれが原因で子どもたちの個室化となり、引きこもりや、PCでネット漬けになったとも言う?のです。さらに子どもたちが成長して出て行った後はその空いた子ども部屋に今度は夫か妻がさっさと移り住んで“夫婦の個室化”ともなるのです。確かに折角の子育ての住まいもあっと言う間に成長し、住まいはまた夫婦が「愉しむ場」?に変わるのです。もともと住まいは夫婦のもので、たまたまの子育てで、最初から夫婦二人の生きて行く「場」だったのです。こうして間取りは夫婦中心の家族の生活の「場」と考え、その「場」を配置するのが本来のプランニングなのです。

その家族は勝手な「時」に、勝手な行動をする「場」で、時に一緒に行動もするのです。これは決して「部屋」の間取りではなく、むしろ「時空」の間取りなのです。すなわち「時取り」と「場取り」で、住む人のすべての生活に対応するものです。これは原始から営々と続いた、あの間仕切りのない「洞穴の家」なのです。

洞穴の住まい
創始からの洞穴の住まい(画:天野彰)

そして現代は、家族の生活と人生にフレキシブルに順応するシンプルな家、そうです。あの間仕切りのない体育館のような二階まで吹き抜けのワンルームの家を想像すればよいのです。そこから改めて家族の成長と変化に合わせプランをつくって行けばいいのです。

体育館住宅
変幻自在の吹き抜け「体育館住宅」(画:天野彰)

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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