住宅関連記事・ノウハウ
住みはじめてからのランニングコストについて
1 上手な家づくりコストダウンのコツ
家族のライフスタイルと希望を住宅会社にきちんと伝えたあとでほとんどの方が直面する予算オーバーに際し、いかにしてコストダウンを図るべきか。誰しもが考えるグレードを落とさずにコストを抑えるためには、優先順位の認識と整理が、なによりも大切なことです。マイホームに求める優先順位は人それぞれですが、ご家族で我が家の優先順位を再度確認してみましょう。
注文住宅でコストダウンを検討するときのポイント
プランニング
見積もりは必ず数社からとって比較すること。価格だけで比較することはお勧めできませんが、数社を比較することで適正な価格の見当がつくようになります。
間取り
凹凸や仕切りが多い複雑な間取りより、シンプルな形状で基本モジュールに添った寸法のほうが材料と加工にかかる無駄が減ります。また、キッチンなどの水廻りはできるだけまとめると、工事費を抑えられます。
設備
キッチン・ユニットバス・トイレなどは、できるだけ同じメーカーで揃えたほうが全体での値引交渉をしやすくなることから、コストダウンにつながる可能性が高くなります。また、設備や建材を施主自身が調達する施主支給でコストダウンを図る方法もありますが、住宅会社によっては施主支給が難しい場合もあります。
建築材料
多くの建築資材を組み合わせた場合、種類が多ければ多いほど複雑な工事になります。工事が複雑になると、職人さんの人件費が嵩むことから、適正かつ少ない種類の材料を多めに仕入れるほうが、結果として材料費が安くなる場合があります。
住宅の安心・安全に密接にかかわる部分と、適切な住宅性能を維持するためにコストダウンしていけない要素
地盤
マイホームの建物を支える地盤は、強固でなければいけません。軟弱地盤の場合は、安全を最優先にした適切な地盤改良工事を行う必要があります。
構造
基礎・土台・柱・梁(はり)など、家の構造部分にかかわる部分はコストダウンしてはいけません。
断熱・防水
断熱や防水は、構造部分と同じように重要な部分なのです。当初のコストを抑えて20年程度で建て替えなければいけない家になるか、多少の出費を覚悟して長い期間にわたって快適に過ごす家を建てるか。長い目でみれば、明らかに後者のほうがランニングコストがかからない家になります。
2 住みはじめてからのランニングコスト
住んでからのランニングコストにも配慮することで、建ててから解体するまでのランニングコストの削減だけではなく、できるだけ長くきれいに住むためのメンテナンス(修繕)は、家の資産価値を守ることにつながります。戸建住宅に限らず、税金(固定資産税・都市計画税)・保険は、住宅を所有している期間ずっとかかります。また住み始めてからは、戸建住宅・マンションとも約5年単位で維持・修繕が必要に。特に10年単位での維持・修繕コストは1回あたり100万円~1200万円程度と、計画的に備えておかないと支出することが難しい金額になります。マンションの場合は、共有部については修繕積立金で維持・修繕が行われますが戸建住宅、ならびにマンションの専有部については自身で修繕にかかる支出に備えておく必要があります。
戸建住宅で必要になる主なメンテナンス(修繕)内容について
外壁の塗り替え
外壁は表面に粉が吹いたような状態(チョーキング現象)が起きたら、速やかに塗り替えを検討しましょう。放置すると、塗装表面がひび割れて塗装が剥げ落ちます。塗り替えサイクルは、一般的な合成樹脂調合塗料は3年~5年。フッソ樹脂塗料で15年~20年程度です。1回の塗り替えコストは、住宅の規模や塗料の種類、下地状態によって大きく変わりますが、外壁塗装だけ(屋根塗装別)でも足場代込みで数10万円~150万円以上かかります。
屋根の補修
屋根は素材によって、耐久性が大きく異なります。トタン屋根は5年~20年、スレート葺は10年~15年、ステンレス20年~50年、銅板20年~100年、素焼き瓦10年~60年、釉薬瓦は数百年の寿命がありますが、台風などで屋根が破損したり雨漏りが発生したら、速やかに修繕しなければなりません。雨漏りは、住宅の寿命を著しく縮めるほか、カビなどの二次被害によって健康を害してしまう可能性もあります。また、積雪地帯では屋根からの落雪にも配慮した素材を選ぶ必要があります。
庭の維持
庭の状態や規模、お好みで大きく変わりますが、剪定などはプロに依頼したほうが維持コストがかかっても後々の手入れが楽になる、というメリットがあります。
リフォーム
家族構成の変化(子どもの独立・親の同居・介護)により、たいがいのご家庭ではリフォームの必要に迫られる場合が多いようです。リフォーム規模によって変わりますが、キッチン・ユニットバス・トイレ・洗面台の交換(各1セット)だけでも、平均して250万円~300万円近くの支出。間取り変更や居室や寝室の床・壁・天井の貼り替えも行うと、全体で500万以上のリフォーム費用になる場合が大半です。
3 ランニングコストが抑えられる例をご紹介
イニシャルコストをかけることでランニングコスト(住んでからの節電やエコになる)が抑えられる例をご紹介しましょう。イニシャルコスト(初期費用)が高くてもランニングコスト(維持費)が安くなれば、長い目で観て生活費が安くなります。
イニシャルコスト増
ランニングコスト減できる。住んでからの生活費の節約につながる。
軒やひさし
冷房費削減※夏の日差しを抑えることができる。
高気密・高断熱化
冷暖房費削減※夏は熱気を食い止め、冬は暖かい空気を逃さない
ペアガラス・トリプルガラス
冷暖房費の削減。窓は壁よりも7~12倍も熱を通しやすく屋根・天井と比べると13~27倍にもなります。
樹脂サッシ・木製サッシ
サッシ部分はアルミより樹脂・木製のほうが、より熱を通しにくくなります。
オール電化住宅
オール電化住宅ならではの電気料金割引ブランをはじめ、キッチンの油汚れが少なくなることもメリットのひとつ。火災保険割引や住宅ローン金利優遇も要チェックです。
LED照明器具
日々の電気代節約につながります。照明にかかる消費電力は年間平均で13.4%※経済産業省 総合エネルギー調査会/2009年)と、2003年の16.1%(※資源エネルギー庁)に比べて下がっているように見えますが、一世帯あたりの電力消費量は1ヶ月あたり300kWhに近い電力消費量となっています。※「原子力・エネルギー」図面集2012)
将来の住宅設備
電線やケーブルを通すための電線管(CD管)やエアコンや食器洗い乾燥機などの設置で使う200Vコンセントなど、計画段階から準備しておくと良いでしょう。
リフォームしやすい間取り
将来の家族数変化に備え、リフォームしやすい構造・間取りを選ぶと、将来の工事費節約につながります。お家を建ててからのコストについてなかなか考える機会も少ないと思いますが、是非、お家づくりの段階から考えてみてはいかがですか。
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