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建築家 天野 彰 やっぱり8%の消費税は建築コストをメタボにした!!

1 8%の消費税は建築コストをメタボにした!!

このコラムも3年以上になりますが…どうも高齢化や老後の暮らしの話が多く、今の若い世代の住まいのリフォームのお話を、と言う要望も多いようです。確かに重要なのはこれからの暮らしさらに老後の住まいなのですが、子育てに勤しむ若い世代の生活も大切です。特に若い世代の住宅事情は狭い、高い、遠いですが・・・何か良い提案はないか?と探っているのです。ところが、最近の建設コストは余りにも高いのです。この4月から消費税アップとなりましたが、実際の建築現場のコストはいったいどうしたと言うでしょう?明らかに当時のさらに2、30%以上もアップしているのです!

この先10%では一体どうなるのでしょう!当時は施工者たちと消費税10%(とりあえずは8%)について話しをすると、そのほとんどが「今の5%に3%か5%のアップでしょ」とあっさりでした。建ててそこに住む人も所得のないの高齢者たちも一体どうなるか?などという懸念や議論にもならなかったのです。

私がお手伝いをする病院や介護施設を建てる医師や社会福祉法人たちは怒り心頭で、「医院や福祉施設に消費税をかけると言うのはまさしく患者の医療費に消費税をかけるのと同じだ!社会福祉国家として何とも情けない!」と言い、「建築コスト、医療器具さらには薬剤などの消費税ですべてが医療費や介護費の原価はアップする」とも。当時私はこの消費税アップは建設コストが「メタボ」になるとこのコラムでも何度もアピールしたのです。あの5%の消費税のときも結果、総建築コストが30%近くもアップした経緯があるのです。そのときはバブル経済のせいだとか、駆け込み需要が多かったからだなど言われますが、当時の建設コストの内訳を詳しく調べて見ますと、下請けや下職ごとに挙げられる「見積もり上の消費税」が各段階で建て主の手に渡るまでにあらゆる材料や部品の単価、工賃、運賃に至るまでのそれぞれに“隠れて”いることが分かったのです。まさしく体内脂肪の「メタボ」(イラスト)のようだったのです。

本来仕入れと支払の各段階で税は差し引きされるはずなのですが、実際の現場では下請けコストは消費税込の総額の掛け合いとなり値が決まってしまい、それに経費を足して見積り総額が決まっているのです。結果、消費税は見積額の中に累積加算されているのです。

改めて(赤色10%)のように体内に残る総計30%近いメタボの消費税
イラスト:メタボの見積もり消費税(画:天野彰)

このことはこのコラムでも消費税増税で“建設コストが30%近く上がる”と衝撃的なお話をしましたが、現在その感じで、坪 (3.3m2)当たり6~70万円ほどだった単価がなんと現在90~100万円でも追っ付かないありさまとなっているのです。これは1000坪7億円ほどだった医療施設が10億円となり、さらにそれに10%、1億円の消費税が加算されることになるのです。これでは病院や施設の経営は成り立ちません。この私の予測はなぜかあまりご理解を得られなかったような気がするのです。そればかりか復興需要や経済政策のおかげと言うのです。

さて今度の10%でいったいどれだけ割高となるのでしょうか? これから家を建てたり、リフォームをする若い世代は諦めるのではなく、ぜひ考えて頂きたいものです。

2 建築コストを上げた理由!10%ではなんでこんな価額に?

本当なのかとか、施工業者や税の関係者はそんなはずはない!と怒り心頭のようです。そこで改めて建築発注と税の加算の仕組みをお話しします。単純に一軒の家の建築コストで100万円相当の10項目の下請け工事見積りがあるとして、その1つの100万円だった建具工事費の内訳を紐解いてみます。

建具工事費の内訳

  • ・ サッシメーカーのアルミの原料原価の+10%の消費税
  • ・ 型代の+10%その作業費+10%
  • ・ ガラスの原料などに各10%その加工費の10%
  • ・ 組み立て費の10%
  • ・ 現場取り付け費 10%
  • ・ 運搬費 10%
  • ・ 光熱費 10%

これらの消費税込みの見積もり費に発注移動する都度次々に経費や運搬費が加算されそれらに必ず消費税がオンされ、最終の元請への見積書ができるのです。まるで消費税が複利計算のように累積されて取りあえず100万円となってしまうのです。それにその10%10万円すなわち110万円の税込価額の見積り価額に。さすがにこの段階では元請は発注者から総額で10%の消費税を預かるので、価額にはこの建具工事の10%は差し引いて見積り計上するはずなのですが、果たして下請け価額決定のときは、実際にはこの税込価額支払いの110万円から交渉されることが多く、結果100万となってもその中には10%分の消費税が残ってしまうのです。

考えてみればその数値になるまでのあの無数の取引における消費税の各10%が相殺されていようはずがないのです。税法上の各取引の消費税徴収は各段階での買って支払っての差し引きがされるはずですが、見積り上の元値には消費税が残されたままなのです。その証拠に、かつて1988年の消費税がまったく無いときのほぼ同品質同仕様の建具屋さんの見積価額は、先の原料や工賃運賃原価が積み上げられても、元請の施工業者に上がって来たときにはなんと70万円にも満たなかったのです。確かにバブル経済やリーマンショック、円高などの変動はあっても、さほど原価や人件費は変わっていないはずです。それがほぼモノ中心の建具工事でさえ約120万円から130万ほどとなり、さらにそれに+10%の消費税加算で、結果は132万~142万円となってしまうのです。なんと倍なのです!

これらが、基礎、木工事、設備、キッチンや家具・・・とそれぞれ増えて、それに元請施工者の経費+管理費が加わりその合計にまた+10%の消費税加算となり、この段階で1,500万円近く、実に倍の建築費!?にもなるのです

20年ほど前50万円だった坪単価の100床の病院は1000坪、5億円が相場でした。今や坪100万円でもおっつかず、10億円以上となりそれに1億円の消費税も払えるかっ!となるのです。しかも各施工者や下請け、メーカーも儲からない!減益だ!と言うのです。

国民の社会資本となり得る居住や医療、インフラコストがこうなっている現実をはたしていったい誰がウォッチし、是正しようとしているのでしょうか?住宅や医療に消費税軽減か免税措置をと言う意見さえ出ないのも不思議なことです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
 一級建築士事務所アトリエ4A ホームページ

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