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自ら守るセルフディフェンスの家づくり
自ら守るセルフディフェンスの家づくり
関東大震災から72年後の1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部にマグニチュード7級の大地震が発生しました。阪神淡路大震災です。震源は淡路島北部で、深さわずか14キロの直下型地震でした。神戸市、西宮市、芦屋市など前代未聞の震度7を記録しました。この揺れのため高速道路の高架橋の36ミリもある鉄筋がブチブチと切れ、無残に倒れ、山陽新幹線・JR線・阪神・阪急などの鉄道網が寸断し、長田地区で発生した火災は水道が止まって消火できず、多くの家屋が焼失したのです。
地形によって揺れ方が違う(天野画)
亡くなった人は6400人を超え、残酷にも家具等にはさまれ生きながら焼死された人も多かったのです。その後いろいろな調査が行われ、同じマグニチュードにもかかわらず揺れに大きな較差があったことが判明したのです。
いわば山と沿岸部との間の僅かな陸に細長く発達した沖積層の上の特徴的な揺れの震災で、波動が山に当たり沿岸部の軟らかい層をダブルで共鳴させたのです。しかも人口が集中するこうした繁華街に限って、発表された震度をはるかに上回る、突き上げるような縦揺れと、増幅した横揺れに晒されるのです。
山間部の被害に比べて沿岸部は揺れが大きく複雑な揺れとなり、液状化現象も起こり、街はまるで砂上の楼閣のような被害を受けるのです。これは全国の都市も、造成団地でも言えることで、イラストの断面図のように山から沖積層(埋立地)ではその揺れや危険度は格段に上回るのです。
地形によって揺れ方が違う(天野画)
新年の穏やかな夜明けに突如震撼とさせたあの直下型大地震から、あっと言う間に20年が経ちました。そして大津波の生々しい惨劇を引き起こした東日本大震災からも4年が経ちました。悲しいことは、あの東日本大震災と原発事故のダブルパンチで民主、自民ともが、急きょ災害対策のためと称し、消費税を上げるのは当然、とばかりの感覚でいたことです。結果、人々は政治に失望し、政権は崩壊し、この先の生活や地震に不安を抱きながらも、老後を助けてくれるはずの家に思い切った投資もできずにいるのです。家づくりやリフォームは、生きるため、いや、もっと活きる意識の結晶です。
さあ、今こそこの考えで、リフォームの際、壁を剥がした時に筋交いを入れ、ベニヤ板で補強するだけで数倍強化することができるのです。僅か200万、300万円のちょっとした耐震強化です。これこそ家への投資で、老後に安心な「セルフディフェンスの家」となり、町が、そして国が強化されるのです。さらに思い切って家の半分を処分してイラストのような外殻が分厚いコンクリートで、中は無垢の木の、地震や火災、津波にも強く、快適な家をつくるのです。頑張って貸しスペースのある家にすれば長い老後の糧にもなるのです。
外殻はコンクリート・内部は木のセルフディフェンスの家(筆者画)>
まさしく「セルフディフェンス」とは、生活と人生を自身で守ることです。明日、いや今日来るかもしれない巨大地震。わが日本列島が乗っているプレートも政権も大きな船のようであり、しかも大きなストレス(ひずみ)が溜まっているのです。
天野彰先生の著書 地震に勝つ家負ける家
この本は20年前の阪神大震災の生々しい惨状を見て書き下ろし、2か月後の3月20日に店頭に並んだものです。
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