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建築家 天野 彰 「家相」はあるか?「家相」なんてナンセンス!?

1 家相違反で親からの経済封鎖?!

今年もあっという間に、余すところ2か月を切りました。年を取ると時のたつのが早くなるなどと、かつて祖父母が言っていた覚えがあるが、当の私は早く大人になりたかったなど、さほどそんなことを感じなかった気がする。今その若い人たちがそれを言う?

かつてに比べ世の中が多様化し、忙しくなって来ている。とりわけITの進化によって情報はまたたく間に拡散され、どこに居ても誰にも伝達され一瞬となり、考える暇さえもない。日常の生活も、スーパーやコンビニの発達で出来合いの惣菜もあり、宅配まであって、いちいち料理をすることもない。それどころか食べる時間さえも一瞬となり、夕餉(げ)の支度もなく、家族的な団らんなど死語となりかねない。

特に住まいづくりの設計のお手伝いをしていると、このことを如実に感じることとなり、それこそキッチンやインテリアなどで、一個いくら?などと言った感じで購入が決まってしまうような感じもするのです。確かにマンションはおろか、一戸建てにしても多くの製品があり、しかも買い手市場となり、選択も容易となっているのです。わざわざ土地を探し設計者や工務店を探して家を建てるなどはもはや趣味嗜好のような、贅沢なこととなっているのかも知れません。今の家の建て替えやリフォームなどが私たちの設計の多くの仕事となっているようでもあるのです。

しかし、家はそこに住む人や家族それぞれの営みや四季折々の生活、年々歳々の生き様や成長が思い出づくりの場となり、朝な夕なの時を刻む場所であることを忘れてはいけないのです。

写真 家相を重視した家々抜粋外観 天野彰設計

そんなあるとき、分譲住宅を選んでいたエンジニアで、近代的な考え方の建て主から夫婦の好みに合った合理的なプランがない、と言うことから依頼され、わが意を得たりなどと、設計を進め、実施設計がほぼ終了するころとなったときです。突如、家相などナンセンスと言っていたその夫妻から家相に従ったプランに修正してくださいと言われたのです。これは大事件です。その段階で、家相に従ったプランにすると、今までのすべての図面がすべてパーになってしまうのです。あれほど家相が気にならないかと確認をしたはずだが、などと制したがなんと、両親の言い付けどおり家相に従ったプランにしなければ、足りない建築資金を用立てない!などと言われていると言う。建築基準法ならぬ家相違反で経済封鎖と言う。

2 連載WEBの中での読者「家相」アンケート調査結果

家相を気にする人があまりにも多いことに驚き、家相とはなにか?を改めて調べるようになったのです。私が長年担当していたWEB連載記事(朝日コム)で、独自のアンケート調査を行ったことがあります。その質問内容はストレートで、大変失礼なものでした。が、それにもかかわらず多くの読者の皆さま回答をされ、しかも感想や意見までもいただきました。その内容はまず現在の住まいの形で、しかもそのリフォームをしたい場所。そして案外実態の分からない気になる家相でした。そこでまずは現在の住まいの形でしたが、家相だけに、一戸建てなど持ち家の方が総計の7割以上と多く、またそのリフォーム箇所や用件は、やはり水回りのリフォームが圧倒的に多く、その総数は48%にも達しキッチン18%・浴室16%・洗面トイレ12%・サニタリーの快適性を求めていることがわかるのです。その反面、収納14%・内装インテリア9%と、かつてに比べさほどのニーズもなく暮らしが豊かになっていることが分かります。

グラフ:現在のお住まいは?

グラフ:現在の住まいでリフォームしたい所はどこですか?

この調査が9月の防災月間のさなかに行われたのにかかわらず、耐震補強リフォームのポイントは意外にも11%と低かったのが残念でしたが、家相が気になるかですが、なんとなく気になるまでを含め総数で68%とほぼ7割の人が気にしていたのです。その後このことを建て主方に話すと、「えっ?ほんとに?」と驚かれました。

グラフ:家相は気になりますか?

グラフ:家相は気になりますか?

驚いたことは60代の人が70%を閉めることは予想通りとして、20~30代の若い世代が70%以上と、家相を気にしていることでした。ま、確かにこの調査自体がインターネット世代を対称にしていたことでしたが、その割には改めて家相の関心の深さを知ることができたのです。

3 伝統文化には「家相」がある?

確かに欧米の建築家仲間や友人たちからも妙に感心されたことがこの日本の文化の不思議だと言う。最初に日本に降り立って彼らが面食らったことが、近代的な都市の反面、精神的な効率を感じたと言うのです。その理由として私たちの日常的な裸足の生活を、改めて日本の素晴らしい文化だと言うのです。内と外の生活を匠に暮らす若者や、特別でない和服や浴衣の生活などで、その食の美や、確たるルールさえ感じたと言う。あまり新聞やTVの中で一般に発言されない彼らのホンネの意見が、なんと伝統的で文化的な行事を持ち、しかもこれまた近代都市の中で文化的な素肌の浴衣で裸足の生活の日本人!と、伝えつくされたスシ・テンプラ・スキヤキの日本食以上に、「衣」と「住」の自然な生活が褒め称えられているのです。

その分析とは、衣・住・時間・空間・人間のスピリチュアルで精神性の高い文化を形成していて「食」にも連動していることの奥の深い生活文化と言う。特に「住」は子どもを育て、かつわが身自身をも鍛錬する住育の力を持っているとさえ言うのです。私たち日本人が当たり前と思っていることをとても不思議なことと思っているのです。中でも驚くことは、日本人の長年に渡る住まいづくりの統計学とも言われる住まいの縁起や、キモンなどの家相にまで興味を持っているのです。なるほどアンケートや建て主の話などからも「家相」に多くの人が関心を持って居ることがさもありなんなのです。そこで家相を彼らの目線で、客観的に考えてみますと、私たちの生活には「方位」が深く関わり、それも単に物理的な方位だけではなく、その持つ不思議な意味や力があることが分かります。私たちの身の回りの方位には、時があり色があるのです。しかもそれは意味とパワーを持つのです。まずは、相撲の土俵の屋根の四隅からぶら下がる房に4色あって、赤房・白房・黒房・青房とあるのですが、あの明日香村の高松塚古墳の彩色壁画の白虎や玄武の絵画がそれで、赤は南方位で朱雀、白は西方の白虎、黒は北方の玄武、そして青の東方の青龍となり、1300年以上も前の飛鳥の時代からの伝統的でしかも正確な方位なのです。

その方位は八方になり、細分化され12さらに24方位になるのです。360度の30度、15度ごとに方位の意味があり、それがまた子・丑・寅・・・などの十二支と連動し方位と時を刻む。真北を「子」で、時刻の子(ね)の刻、深夜0時前後で、その隣の丑と寅、丑三つ時などの3時4時で方位は北東、で丑寅(うしとら=艮)方は鬼が出入りする不吉な方角、鬼門(きもん)として古来忌み嫌われてきたのです。(参照:私が全国の家相家方に相談してまとめた住まいの場所と連動させた家相盤)

イラスト:私が全国の家相家方に相談してまとめた住まいの場所と連動させた吉凶の家相盤

家の間取り、すなわちプランニングにも、またそこに住む人たちにもこれほど方位と時刻に深い係わりがあるとその存在を認めざるを得なくなります。ナンセンスなどと言っている建て主も、家族や自分に何か不幸があると、さすがにこの鬼門の存在が気になるものです。しかも親たち姉妹、友人たちからも責められれば、それこそそれが大きな鬼門となるのです。家相は存在するのです。

4 父親中心の良相の家」ひまわりの家とは?

最近、家族とりわけ親子、夫婦に大きな異変が起きているような事件多い。各メディアが、競ってこれでもか、と言わんばかりに事件をクローズアップさせるせいなのか。家づくりに関わる建築家としては、どうも住まいの形やプランにも大きく影響を受けているように思えてならない。今日の家の形はほぼほぼスマートでモダンとなり、プランも暮らしやすそうに思えるのですが、なぜか家族のありようが気になるのです。なんとなく家族がよそよそしく本音の家ではないような、あるいはその家にムリムリ合わせているようなそんな感さえするのです。確かに家族は世相や流行に敏感で大きく影響を受けるのでしょうが、それにしても余りも画一的で、家族に合っているような気がしないのです。確かに“家”さえ流行に合っていれば、世相に遅れを取ることもなく安心なのかも知れません。

しかし本来の“家”とは“お家一大事”の“家”のことでもあり、ファミリーことです。かつて子どもたちは小さなころからこの家の意識を持っていて、親に恥をかかさない、親が哀しむようなことをしない、などが子ども心にあり、それが自然に育ち、また子どもにそう思わせる規律もあったのです。そうした家づくりが親としての務めであり、覚悟でもあったはずです。だからこそ家族は目まぐるしい時代を今日まで生き抜いて来られたのです。そんな中で昔と唯一違うのは、現代の父親に家長と言う意識がないことかも知れません。そのため家族が締まらず、また夫たる父親自身の成長も疑わしいのです。そこでこの家相が説く、家長が家の中心のプランをあえて推し進め、その中心の周りに家族や設備の配置を試みるのです。

Tさんのぐるぐる回れるひまわりの家プラン

写真:その外観写真写真(設計/天野 彰)

めったに家にいない父親の居場所を中心に構えると子どもも妻も接する機会が多くなり、家自体の風通しも家族の見通しがよくなるのです。それが家相の原点でもあるのです。

5 良相の家

現代の家づくりにおいて住まいの品格とか?家の価値や重みとは一体なんなのでしょう?床の間や仏壇などが祀られて形式張ればできるものなのでしょうか?そもそも家とは“お家の一大事”の家であり、ファミリ一家の家とも言え、子どもたちにその家の格式やマナーを教える場でもあったのです。確かにわが国の家には古来、独特な伝統や形式がありました。それがまた独自の文化でもあったのです。それが突如として明治から大正にかけ西欧文化が容赦なく入って、英欧化され、そしてあっと言う間に世界を股にかけ戦い、敗戦し、今度は教育や暮らしまでもが米国化され、急激に今の形の家となったのです。

住まいの中での教育床の間

今までの家の伝統や形式がモダンになったと言うものではなく、むしろそれらをあえて捨てることから生まれる家の形のようでもあったのです。家の材料のほとんどが外国材や集成材となり、結果、家の形は箱型の壁の家となり、個室化が進み、シックハウスなどが問題となったのです。そして今、大工左官などの職人は急激に少なくなり、床の間がなくなり、風通しの悪い壁の家は、“家”を持つ人の意識、その伝承も失ったのです。すでに家は住むための箱で、自動車のようにあり、低燃費、ローコストとなり、外観や装備、さらには内装に興味が注がれるものとなったのです。

今思えば自分たちが育った、あのサッシも断熱材もなく隙間だらけの不便な家で、親たちがなにを大切にし、なに願っていたか、子ども部屋などはなく、冷暖房も床暖房もなく、ましてや対面式のシステムキッチンや、洗浄器付の水洗トイレはもとより、ユニットバスもなかったのです。これはほんの昨日のことのようです。今その家を思い出すことによって“失われた大切なもの”を探るのです。すると古来、わが国の家はその気候や思想、あるいは信念において今もまったく変わっていないことが分かります。小さくても、高層住宅でも親たちが、そのまた親たちが大切にしてきた家の「風格」と「品格」のある重厚な暮らしを今の家に取り戻したいと思うのです。

完成間際の外観 玄関脇の2本の杉の丸柱が特徴

玄関ひさしの軒裏の木組み

そこで、どの家の設計でも私が一貫して試みてきたことが「家相」だったのです。私が考える家相は易や八卦ではなく、あくまでも「家相の存在」と、その起源を探ることによって伝統的な家づくりと家族を知って、それを現代の住まいに生かすことだったのです。結果、家相を考えることによって家族を知ることになり、そのプランの決断もできたのです。しかも家相には科学的な要素も多く、風通しと湿気、すなわち風と水を注意し、家を長持ちさせ、住む人も健康にする知恵があることも実感したのです。

そもそも家相の起源とは何であろうか?毎年師走から新年にかけ干支が話題に上がり、年賀状やカレンダーなどでの干支のキャラクターから関心が起こります?わが国は古来、日常的な干支を中心としてそれを時や日付と年号、さらに方位の八方位と、さらに細かく24方位を表す表現にされているのです。講談や時代劇などでよく聞く子の刻や草木も眠る丑三つ時夜中の2時から3時の三つめころの時間、そして子の方角(真北)や辰巳の出世門などがそれで、その順位で年号までが定められているのです。

今年は癸未(みずのとひつじ)で来年は甲申の年となるのです。こうした歳回りや年月の干支は大自然の宇宙的な五行の木火土金水のそれぞれに兄の陽と弟の陰を順に当てて、甲乙丙丁の十干とし、それに十二支とを組み合わせて干支まさしく兄弟の十母の十二支となり、60年周期で回り来年は甲申となるのです。五行説の世界観や自然界の摂理であり、前者が後者を生み出す、相生の循環の意味や、その反対に後者が前者を倒す相剋とも捉えられ、相性や日時や方位の吉凶を占う易や八卦ともなって。まさしくスピリチャルな風水や家相に興味を持たれる人が多いのです。しかし家相は昔から多くの人が気にし、家づくりでは必ず一度はその話題が上がる古来家づくりの手引書なのです。ときにはそのために合理的なプランが変更させられこともあるのです。まるで家相のためのプランづくりのようになることも多いのです。

実際に病や事故など何か災いや障りでもあると必ず家相が悪かったのでは?などと言うことにもなり、いくらナンセンスと言っている人も、身内や友人に言われると気持ちのいいものではありません。時にはそのせいで家を建て直す人さえいるのです。われわれの大先輩である建築家の清家清氏をしてこれは科学だ!家相は住まいの設計の統計的な手引き書だ!などと言わしめたほど健康や安全を考慮した古来の環境学とも言えるのです。今親たちはそんな家の価値や力を子どもに教えているのでしょうか?私はその意味からも「家相はある!」と感じているのです。どんな家にも歴史があり、その家で曽祖父や曾祖母たちが生き、そして死んで行ったところでもあり、なにより自身が生まれ育った家だからこそ重みがあるのです。このことを未来に置き換えて考えて見るのです。今家を建てる私たちがそのはじまりとして、そこにわが子や孫たちが生まれ育ち、そのまたひ孫たちが子々孫々生きて行くのです。自身もいずれ年を取り、その家の祖先の一員となり、また子孫に敬い尊ばれるのです。家づくりはそんな思いから大切にされ、家相は家だけに限らず。生活全般のための教本とも言えるのです。

6 家相は真の家を思い出させ、まったく新しい家を創る?

それはゆうに100年を越す家で、幸いに空襲から免れ、その家で育つことができました。南入りの広い玄関は三和土(たたき*参照)の土間で、玄関の右脇に大きな洞穴があり、そこにもみ殻に包まれたサツマイモやジャガイモなどが保管されていました。その左は店と呼ぶ8畳の畳の間が一段低い上がり縁をはさんであり、その右角に黒光りする一尺角ほどの大黒柱が悠然と立っていました。

セメントではない三和土の土間

硬く黒い土間は裏の勝手へとつながっていて、勝手には竃があり、そこで薪が燃され釜が煮立っていました。その湯気も薪の煙も皆屋根裏に吸い込まれ梁や母屋は煤で真っ黒になって、子ども心に果てしない宇宙のような感じがしたものです。毎年暮れ頃はその奥の土間の蒸籠で蒸した糯を石臼で搗いて正月の支度をしたものです。

半世紀以上も経った今も不思議に、そのときの湯気の匂い、そして情景を昨日のことのように思い出すのです。特に竃や土間、流しや神棚をいつも清め、お供えをし、手を合わせる祖父母を見て育ち、住まいのあちこちに何か霊的なものが潜んでいるような感じがしたものです。きっと今でもそのことを大切にしようとするのかも知れません。

左 家相の方位に従い建てたY邸 右 同、現代の土間と大黒柱と座敷

実際に、住まいにはその土地の気候や方位に深く関わることも肌で体験し、物理的な方位だけではなく、不思議な運命的な意味や力も感じたものです。あの高松塚古墳の四方に描かれた彩色壁画の白虎や玄武のように、方位は色や地形にも象徴され、家がそうした配置となっていたのです。

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建築家 天野 彰建築家 天野 彰

建築家 
天野 彰

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。
「日本住改善委員会」を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社)『転ばぬ先の家づくり』(祥伝社)など多数。

 一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 一級建築士天野 彰 公式ホームページ
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