早坂淳一 保有資格:AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人生命保険協会認定/シニア・ライフ・コンサルタント/
工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在はハウスネットギャラリーを運営する第三者機関ネクスト・アイズ(株)にて、住宅コンサルタントとして活躍中。
執筆・監修:ハウスネットギャラリー事務局 早坂淳一
更新日:2024年9月6日
家を新築するなら、映画・音楽鑑賞、楽器演奏、パーソナルジムやシミュレーションゴルフ、車・バイクを眺めたりメンテナンスしたり、マリンスポーツ全般を楽しむ設備、料理を楽しんだり、ソーイングや木工、天体観測、eスポーツ、ガンプラとか推しコレクションを愛でる部屋など、好きなことに思う存分没頭できる「趣味部屋」をつくりたい!とお考えのみなさまも多いのではないでしょうか。
今回は、趣味部屋を作る際におすすめの場所や広さをはじめ、間取りのパターンや注意点なども解析します。仕事終わりや家族と過ごす休日はもちろん、セカンドライフでも、わくわくする趣味部屋の間取りや内装実例を参考にご覧ください。
数多くある趣味に合わせて、趣味室をつくることを考えるかもしれません。ここでは趣味室の種類を大きく5つのパターンに分けて、音楽趣味・クラフトや車の趣味・アウトドア趣味・コレクション・料理からみていきます。
映像や音楽、最近ではシミュレーションゴルフやゲームなど大きな音で楽しむ趣味も多くあります。気兼ねなく楽しむには、家のなかに音を漏らさないことはもちろん、屋外に音が漏れないようにする工夫が必要です。
屋内外に音が漏れないようにする遮音対策とあわせ、室内の構造の最優先事項は頑丈な床。大型スピーカーや重量級のアンプはもちろん、グランドビアノなど重量のある楽器でも問題のない強度を確保する必要があります。
あわせて壁については反響時間や定在波※の調整とあわせ、大電力を消費するアンプの電源と専用アースの設置がポイントです。
※定在波=一定条件の中では、あたかも波の進行が止まり、振幅が同じ場所で繰り返されているように観測できる現象。発生した定在波の音圧は、壁の近くと部屋の中央で音圧が最大、逆に左から1/4、3/4の位置では理論上音圧はゼロになります。つまり、壁の近くでこの音を聴くと、音圧は大きく感じ、音圧がゼロになるポイントでは原理上音は聴こえなくなるのです。
木工など作業場所は家の中にちょっとしたスペースを造ればと思うかもしれませんが、木のくずなどがまき散らかって、それを掃除するのも結構面倒になります。何よりインパクトドライバーや電動ドリルなどの動作音などもあり、普通の部屋での作業は向きません。
車のメンテナンスはご想像の通り、車の駐車スペースで行うもの。屋根のない駐車スペースよりはしっかり囲われたスペースの方が天候などに関係なく作業ができます。そのため、ガレージスぺ―スは外に直結しており作業場として最適です。
さらに計画時に気をつけるポイントは、床の水平と排気です。
床に不陸(突起やふくれ、凹凸)がないこと、ならびに床の傾きや歪みがないことは、作業をするうえで重要です。
ガレージジャッキやリフトで車体を持ち上げるときの持ち上げた車体のバランスはもちろんのこと、車体外装部品(ドアやフェンダー、パンパーなど)の建て付け基準になります。アライメントを調整する場合は基準となる水平が狂っていると、そもそも正確な測定数値(トーイン・キャンバー角・キャスター角)が出ません。木工クラフトにおいても、床の水平は家具や建具の仕口・継ぎ手(木と木を組むための加工)の基準になります。特に家具の仕口ではコンマ数ミリの精度が求められるだけに、木工クラフトがご趣味の方にとっては基準となる床の水平をとることがたいへん重要になります。
また、木工クラフトや車両メンテナンスでは、塗料・接着剤・クリーナーなど各種ケミカル類を使います。よって、蒸発した化学物質や排気ガスを吸い込まないために強制的な換気が重要です。さらに、照明・動力の確保、部品などの保管場所の確保も必要となります。自動車メンテナンスであれば、可能であれば電動2柱リフトの設置も検討しましょう。電動リフトがあるだけで、エンジンオイル交換程度の軽作業からドライブシャフト交換といった下回りの重作業において作業効率が格段に向上します。
アウトドア用品は外で使うことが基本ですので、クルマに積み込むことを考えると玄関横にシューズインクロークを設けるか屋外に保管場所を設ける必要があります。
ゴム製品は空調のない屋外では、酷暑による用品の劣化が気がかりです。理想は室内環境にあわせたシューズインクロークへの保管がベターですが、何かとかさばるボードやロードバイク、カヌー(カヤック)、タープ類などは屋外に施錠できるガレージや物置をつくって保管する方法もひとつの対策です。
あわせて、マリンスポーツ関連が趣味で海沿いに住まいを建てるときは、屋外シャワールームの設置はもちろん、各種住宅設備機器についても耐塩害仕様にすることを検討しましょう。※耐塩害仕様にするぶん、建築コストが上昇することにも配慮が必要です。
ほどよい自然光のなか集中できる空間がベター。例えば撮影画像のレタッチを行う場合、ディスプレイのカラーキャリブレーションが必要なことから、照明計画への配慮も重要になります。ロフトであれば、天窓などで潤沢な自然光を得られるほか、集中して取り組めます。
欠点として屋根・天井の断熱をしっかりしないと、暑すぎて夏を乗り切れない懸念が。現在はどの住宅会社も断熱がしっかりしているので、心配はないかもしれませんが確認するようにしましょう。
スキップフロアは壁面から十分な採光を得られますが、ロフトと同様に快適さを考慮して、断熱性能に優れた高性能サッシの設置をおすすめします。
来客とくつろぐ時間を過ごせるリビング・ダイニングのインテリアや照明デザインを重視しましょう。
アイランドキッチンなど多人数の動線が取りやすいため検討する方も多いかと思いますが、デメリットは高価なキッチン本体価格はもちろん、アイランドキッチンの設置に必要なのはダイニングの広さ。土地面積や建築上の制限などもあるため、必要な広さを確保できるかは最初の段階で確認しておいた方がいいでしょう。
いろいろな趣味室の種類を紹介しましたが、実際にどのぐらいの広さが必要なのかも気になるところです。趣味で使う部屋の広さは、どのような趣味を楽しむのかによって大きく異なります。
ここでは、趣味に合わせた広さをご紹介しています。こちらを参考に、ご自身の趣味にはどのぐらい必要なのか検討してみてください。
国土交通省の指針を踏まえた車一台に必要な最低限の駐車場スペースは幅2.5m×長さ 6.0m、約4.5坪分の面積が必要です。ただし、この広さではドアも全開にできず、運転席側ワイヤーハーネスのメンテナンスはもちろん、助手席ドアをあけてのエアコンフィルター交換や天井・インパネの取り外し、配線メンテナンスやブロアモーター交換もできません。さらに、作業をしないときのハンドツールや各種ケミカル類を収納する場所が必要ですので、カーナビ交換程度の軽いメンテナンスでも、幅5.0m×長さ6.0m=約9坪程度が必要です。
Spotifyなどのストリーミング音源を使いD級デジタルアンプと小型スピーカーの組み合わせであれば、最低1坪ほどあれば設置できます。
ただしアナログベースでのピュアオーディオを追求すると、たとえばプレーヤーはトーレンスTP997w/LiftにトーンアームSME3012Rなどを組み合わせ、プリアンプはマッキントッシュC32、パワー・アンプは低域にMC500、中高域にMC275(アクティブ・バイ・アンプ駆動)で、スピーカーはJBL 4344※の組み合わせであれば最低でも3.3坪。
音源がデジタルであれば、たとえばアキュフェーズDP-770(SA-CD/CDプレーヤー)をソースにアキュフェーズA-80(純A級パワーアンブ)とアキュフェーズDF-75(チャンネル・ディバイダー)や、TANNOY Westminster Royal GRを合わせたハイエンドオーディオを配置する場合は、最低でも11坪以上は必要かと想定できます。
シアター用のVITAVOX CN-191 CLASSICになると、理想をいえば40坪程度の面積と搬入経路の確保が重要になります。 ※宮藤官九郎 氏 脚本作品フジテレビのドラマ「新宿野戦病院」の院長室セットにJBL 4344が使われています。
さらに、アナログオーディオの場合、各々の機器重量や搬入経路の検討も大切。大型のスピーカーだと、それこそ2人がかりでようやく搬入できるような大きさです。
以下、主なハイエンドクラスのスピーカーシステムの1台あたり重量ですが、ほぼ1台あたり100kgを超えます。大きさもあるだけに、搬入・搬出は2人がかりが基本。
種類 | 重量 |
---|---|
オールホーンのWestern Electric WE-12A | 片チャンネル総重量:約92kg |
モニタースピーカー最高峰クラスのJBL 4350BWX | 1台118kg |
シアター用のALTEC A7 Legacy | 1台77kg |
TANNOY Westminster Royal GR | 1台 138kg |
VITAVOX CN-191 CLASSIC | 1台 260kg |
これらのスピーカーを駆動するアンプも、それなりの重量級になるだけに、いちど設置したら、ひとりで動かすのはかなりたいへんなことでしょう。
アウトドアがご趣味の方であれば、用具の収納場所が最大のポイント。
シーカヤックなどは自宅が保管場所になりますが、普通に考えるとシーカヤックの置き場所に困ってしまいます。そんな場合、たとえばガレージ壁面に金属製の腕木を使ってコンパクトにカヤックを収納。壁面を木製仕上げにしてカヤック本体に傷がつかないように収納する方法などが考えられます。この方法であれば、車を寄せるだけで天候に左右されずにカヤックの洗浄ができたり、修理・塗装作業ができるスペースも確保できます。その際に必要な広さとしては約5坪ほどあればいいでしょう。
推しのコレクションやeスポーツ、撮影画像のレタッチ、DTMやデジタルオーディオのストリーミング再生、配信されている映画やスポーツ実況など各種映像の鑑賞であれば、基本はひとりで快適に過ごせる空間を確保すれば良いことから、そう大きな空間は必要ありません。最低1坪ほどあればいいでしょう。
座って過ごすことが大半であれば、建築基準法で部屋とみなされない天井高さ1400mm未満でも、なんとか過ごすことができるでしょう。
ホームパーティで来客に料理を振る舞うことや自宅で料理教室を開催する場合、キッチンとダイニングの広さと動線が最大のポイントになります。
定員を何名にするかによって部屋の広さや間取りが大きく変わるので、プランを依頼する段階でダイニングにご案内する想定の定員とあわせ、必要となる食材や調理器具を保管するパントリーと仕込みで使うユーティリティで使う想定面積、棚の奥行きと棚の段数を確保できるだけの容積率が確保できるかが重要です。
たとえば、家族4人にプラス6名の来客の場合は、最低でも11坪ほどは必要でしょう。
なお、料理教室など主催する場合、その部分が業務用途としての扱いとなり自宅とみなされない可能性もあります。たとえば料理教室を開催する場合は教室で使うダイニングキッチン面積が延床面積の50%未満に納めるようにしましょう。事業で使う延床面積が50%未満であれば、事業用ローンではなく低金利の住宅ローンを使えます。
防音室のある家 YAZAWA LUMBER施工事例(詳細はこちら)
打ち込み系※であれは、さほど大きな空間は必要ありません。逆に囲まれていた空間の方が集中できるため、この事例のようにコンパクトな空間のほうが効率が上がります。
※代表的なアーティストは、元祖はクラフトワーク、ダフトパンクなど。国内アーティストであれば、電気グルーブとかブンブンサテライツ、冨田ラボなど、
心が和む北欧のナチュラルモダン トヨタホーム東京施工事例(詳細はこちら)
室内にグランドピアノを配置する場合のポイントは、その部屋がきちんと遮音されているかという点以外に、500kg近い重量(例:スタインウェイ D-274=480kg)を支える床組み※、そして搬入経路(廊下・階段・玄関などの開口部寸法)、安定した空調がなにより大事です。ご計画の際は、遮音以外にも通路幅や床加重など、しっかり相談のうえ進めるようにしましょう。
※住宅の居室の床は建築基準法施行令の第八十五条において、1平方メートルあたり180kgの荷重に耐えることとされています。
インナーガレージ付きの平屋で理想のガレージライフ トヨタホーム東京施工事例(詳細はこちら)
愛車を駐車しながら眺める目的のガレージ。リビングから眺めるようにしっかりと計画された愛車好きには堪らないガレージハウスです。
タイヤや油脂類などストックするための十分な広さを確保しているガレージスペース。もしローダウンしているなど車高に余裕がないときは、接道面まではゆるやかな傾斜にすることも必須です。また防犯対策として入口にシャッターをつけることも必須条件です。
趣味部屋はビルトインガレージ 不二建設施工事例(詳細はこちら)
ガレージで作業をする場合、必要な道具や油脂類などを整理できる棚が必須ですが、こちらの事例ではしっかりと作業場の近くに棚などを設けて使い勝手が良さそうです。机の前壁には工具がそのままかけられるように工夫されているのもポイントです。
また、こちらのガレージは玄関とつながっており玄関収納もしっかりと設けられています。その玄関収納で買い物の仕分けができるスペースを確保すると効率よく収納することができます。
カリフォルニアスタイルの家 広島建設施工事例(詳細はこちら)
プロスポーツ選手であれば、自宅でインナーマッスルを鍛えるトレーニングを行うことが多いかと思います。ただ、お風呂やリビングでトレーニングといっても、お風呂のなかやリビングでトレーニングすることも、なかなかたいへんです。
そんなときこそ、ガレージに代表される【土間空間】でのトレーニングであれば、家族に気兼ねなくトレーニングに集中できます。
海と山に囲まれたセカンドハウス 住工房スタイル施工事例(詳細はこちら)
ご趣味であるサーフィンを存分に楽しみながら、家に入るときは全身についた砂や塩分をさっぱり流せるように玄関アプローチにシャワーを設置しているこちらの事例はサーファーのための家と言えるでしょう。ビーチクルーザーも玄関前に置けるようにして、気軽にビーチに行けるようにしているのもポイント。
海と山に囲まれたセカンドハウス AQGroup施工事例(詳細はこちら)
空間を広く感じることができるシアターのような大階段をリビングに配置。リビングはご主人がどうしても実現したかった【囲炉裏】と【ホームシアター】をしつらえました。【囲炉裏】が掘り込まれた大きなテーブルやソファでくつろぎながら、ホームシアターでいろいろな動画を楽しむことができます。
ホワイトオークが描き出すフレンチカントリー 益田建設施工事例(詳細はこちら)
趣味のソーイングをはじめとするハンドメイドを楽しむときに、ミシンやいろいろな道具を出したりしまったりするのは意外と手間になります。そのため、常にミシンやハンドメイドの材料を置いておける専用のコーナーを設置したのが今回の事例です。
細かい作業には十分な明るさが必要ですが、机の上部に窓があるので日中であれば採光も十分。ミシンを置くデスクや椅子、布や糸、その他の材料を効率よく収納できる工夫もこらしています。
愛車を眺めながら夫婦の時間を楽しむ家 広島建設施工事例(詳細はこちら)
こちらも、大切な愛車を眺めながら、ダイニング兼キッチンカウンターでお食事やお酒を楽しんだりと、ご夫婦でゆったりした時間を過ごすための空間です。コンパクトなダイニングスペースは、お子様が独立されても夫婦で楽しめる機能性を凝縮した無駄のない間取りです。
水廻り設備をはじめ造り付けの棚、カウンター、TVボードなどを同じ素材で揃え、インテリアデザインに統一感を持たせたこだわりのキッチンコーナー。キッチンはアイランド型でも小ぶりにして、リビングとの回遊性もしっかり確保しました。
海の見えるリゾートハウス YAZAWA LUMBER施工事例(詳細はこちら)
まるでリゾートホテルのように、スカイバルコニーで海を眺めながらくつろげるジャグジーを設置。3階建てなので周囲の視線も気にせずに、思う存分楽しめそうです。海のそばということで塩害から愛車を守るビルドインガレージも完備。ガレージというと、家のなかから愛車を眺めたり整備したり、というイメージが大半ですが、海のそばでは【塩害から愛車を守る】という機能も重要なことです。
1階と2階をつなぐ空間をスキップフロアにして、室内空間をつなげつつ、各々の場所ならでの役割を区分けしています。特にクリエイティビティ(創造性)が掻き立てられる仕事空間であるライブラリーの書斎もインテリアから細部までこだわり抜かれた開放感のある空間です。
外と中のつながり感が心地いいアジアンリゾートな家 水嶋建設施工事例(詳細はこちら)
天体観測がご趣味の施主のご要望を踏まえ、ロフトに天窓を設置。天体観測の大きな悩みは、夏は蚊に悩まされ冬は寒さに凍えることですが、望遠鏡を突き出せる程度まで天窓の高さを下げることで、天体観測で辛くなる周囲の温度や環境を緩和しつつ、ゆったり観測できる環境は嬉しいポイントです。なお、通常の住宅より軒天を気持ち深めにしつつ軒天から天窓までの距離を確保。リビングからの光害を少しでも避けることができるようにしています。
さて、趣味を楽しむ家の事例も見てイメージがわいてきたかもしれませんが、計画時点で注意すべきポイントもあります。事前にその点を検討しておくことで、理想的な趣味室を実現に繋げましょう。
まず、どんな趣味を楽しみたいかによって、広さはもちろんのこと、必要な機能が異なります。あわせて、必ずといっていいほど家族から猛反発を食らうのが、趣味を楽しむときに発生する音と臭い。
特にオーディオでは部屋の外に漏れ出る音の問題、ガレージでの車両メンテナンスでは手についた油脂類を洗わずに室内に入った場合、ドアの取っ手が油まみれになるなど。そのような家族の不平不満が積み重なった結果、家族から猛反発をうけて趣味を楽しめなくなるほど辛いことはありません。
よって、他の部屋に音や臭いが漏れないようにするためには、間取りにも工夫して、家族が生活する環境との距離感が必要です。
なおコラム前半でもお伝えしたように、特にハイエンドオーディオが趣味の方々にとって、最も検討が必要なことは床の強度。住宅においては、木造・鉄骨造を問わず通常の床組みでは、床の強度が不足します。なお、床の補強は大がかりな工事が必要になるので、新築時に検討するのが最適でしょう。ただし建築費用が大きく膨らみます。
たとえば、eスポーツやデイトレードなど画面に向き合う趣味では、インテリアの配色計画はもちろんのこと、画面への映り込みを減らす照明計画が室内配色計画以上に重要になります。また照明計画によって、目の負担も大きく異なります。
収納計画については、趣味の種類によって最適な収納計画が大きく変わります。
たとえば、料理が趣味であればグロサリーや調理器具を収納するパントリーが必須の収納。普段の日常生活ではあまり使用しないけれど、場所をとる大型家電だけでなく多数の食材・調味料などもまとめて収納できます。もちろん、キッチン導線を考えたシステムキッチン収納にも十分配慮する必要があります。特にシステムキッチン収納については、シンクとコンロの位置関係と同じように料理の段取りに大きく影響するだけに、詳細にわたる検討が必要です。
また、推しコレクションを飾るための収納スペースもよく検討が必要です。ただ収納するのではなく「飾って」「楽しむ」事が目的のため、見えるように設置することが重要になります。コレクションの内容によっても形や大きさがマチマチなケースもあり、現状でどれだけのグッツを所有しているのかをしっかり把握し検討しましょう。
注意点としては、ご家族の生活スペースを圧迫しない程度の広さに留めておくことが重要です。快適に料理や推しコレクションを楽しむためには、家族も納得するスペースで楽しむ必要があります。よく家族と話し合っておきましょう。
土間を基本とするガレージやアウトドアの場合は、収納と適切な作業スベース確保で作業効率と満足度が大きくかわります。
特にガレージについては、必要なときに必要なハンドツールやSST(スペシャルサービスツール=ひとつの作業にのみ用いられる専用工具) 、CRC5-56に代表される各種ケミカルが必要なタイミングで用意できることが、ストレスなく趣味を楽しむために重要な要素。
SUBARUの旧車メンテナンスを趣味とする筆者の経験上、広すぎる空間では収納場所の確保ができても逆にハンドツールや各種ケミカルがとっちらかることから、かえって作業効率が低下します。直ぐ必要な工具が取れる作業スペースと収納場所の距離を検討しましょう。
趣味の内容によって、必要となる電源容量や通信回線容量は大きく異なります。
注意しなければならないのは、設計時にしっかり指定しないと壁内LAN回線ケーブルがCat( カテゴリー) 5eにされてしまうこと。部材費用は高額になりますが、できれば壁内LANケーブルはCat(カテゴリー)6A(通信速度10Gbps、伝送帯域500MHz)のLANケーブルにしましょう。
大手家電量販店にはCat( カテゴリー)7やCat( カテゴリー)8のLANケーブルが販売されています。しかしそれはCat( カテゴリー)7やCat( カテゴリー)8の規格に正式に準拠したものではありません。Cat( カテゴリー)7やCat( カテゴリー)8のANSI(米国国家規格協会)規格を満たしておらず、Cat( カテゴリー)8の速度に対応した機器はないので、壁内配線をCat( カテゴリー)7やCat( カテゴリー)8にアップグレードしたとしても、基本的にはCat( カテゴリー)6Aとほとんど変わらない性能しか出ないと考えられます。
電源ノイズについては、適切な接地(アース)で改善できる場合もありますが、電源にこだわると、それこそお住まいの地域の電力会社と交渉して、電柱トランスと電気的にできるだけ近くに接地する【マイ電柱】の手配も必要になるかもしれません。
趣味室は、その内容によって住宅に要求される仕様が大きく異なります。趣味というだけで、ついつい経済的な面は度外視しがちではありますが、いっしょに住む家族と家づくりの優先順位をしっかり検討することからはじめましょう。
ガレージやアウトドアの趣味であれば、対応できる会社は全国各地にありますが、たとえばガレージに駐車した愛車を眺めるだけなのか、本格的な旧車メンテナンスに取り組むのかによっても、必要となる床面積や設備、仕様が大きく異なります。
※たとえば、日産R32スカイラインGT-Rは、程度が良いフルレストア済の車両になると1989年式の車両本体価格は2,100万円(税込)です。
上記とは異なり、グランドビアノなど大型楽器の演奏やハイエンドオーディオの設置は、室内工事において特殊なノウハウが必要になるだけに、その設計に対応できる会社が限られます。
工事費用についても、特殊な工事に対応するぶん相応の金額になりますし、そもそも設計を担当する方が設置する楽器や機器に対する深い造詣がないと、満足いく設計にはなりませんし、施工に携わる職人さんも、それなりのスキルが要求されます。
判断が難しいのは料理趣味の場合。料理づくりを楽しむ範囲が自分たち家族を対象とするのか、有償の料理教室まで主催するのかによって、キッチンまわりの造作や動線が大きく変わってきます。有償の料理教室であれば、店舗設計などの経験も必要になるため、担当される方のこれまでの経験値などを事前に確認しておくといいでしょう。
依頼する会社だけでなく、対価を発生させるのであれば、ご自身の資格はもちろん、行政からの許認可、衛生対策まで踏み込んだ対応が必要です。
一方、室内に収納を含めた目的の場所を確保するだけという推しコレクションや画像レタッチ、ストリーミング再生などであれば、家全体の工事費用に大きな影響を及ぼさない範囲での対応が可能です。造作工事については特殊なノウハウはさほど必要ないため、どの住宅会社でも問題なく対応できることでしょう。
ただ、照明計画や屋内LAN配線の仕様については、きちんと書面で仕様の合意を取り付けるといった『言った・言わない』を避ける対応がなにより重要です。特に屋内配線は、完成したあとの配線交換はかなり大がかりになりますが、設置したケーブルの伝送速度の違いでも結果が左右されるようなデイトレードなどを自宅で行いたい場合は、特に注意が必要です。
趣味は、家族共通というより、おひとりで楽しむことがほとんど。趣味によって住宅仕様が大きく変わるため、ご家族で家づくりの優先順位をしっかり整理することがなにより大切。
家族とともに暮らす住まいに、ご自身の趣味のための部屋やスペースを設けることで、自分がくつろげる空間・時間を確保することができます。趣味やライフスタイルはひとそれぞれですが、趣味によって必要な空間の広さやレイアウト、必要とされる機能も大きく異なります。
実績が豊富な会社であれば、多種多様な趣味やライフスタイルに応じた、多彩な提案力が期待できます。ただ、最初から1社に絞ってしまうと偏った提案になる可能性はもちろん、工事金額の妥当性も比較できません。
趣味の部屋を検討する場合は、最低でも3社に同じ条件で提案を依頼して検討。趣味に関する理解度はもちろんのこと、設計担当の理解に応じた提案において自分のやりたいことがどこまで反映されているか、施工価格は適切か、といった検討を重ねることが重要です。
★ただ、趣味の深さを理解していない住宅会社の担当者に直接依頼しても、なかなか思うように伝えられないもの。そんなときは、ぜひハウスネットギャラリー事務局にお問い合わせください。あらゆる趣味に精通した事務局担当者が、ご要望を整理して各社担当者にご要望をお伝えします!
住宅会社選びはもちろんのこと、家づくりの様々な疑問にお答えいたします!
早坂淳一 保有資格:AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人生命保険協会認定/シニア・ライフ・コンサルタント/
工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在はハウスネットギャラリーを運営する第三者機関ネクスト・アイズ(株)にて、住宅コンサルタントとして活躍中。