早坂淳一 保有資格:AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人生命保険協会認定/シニア・ライフ・コンサルタント/
工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在はハウスネットギャラリーを運営する第三者機関ネクスト・アイズ(株)にて、住宅コンサルタントとして活躍中。
執筆・監修:ハウスネットギャラリー事務局 早坂淳一
更新日:2024年4月4日
RC造(鉄筋コンクリート造)の注文住宅は耐震性や耐久性などの性能の高さとデザインの自由度がポイント。しかし木造の住宅に比べ建築費が高額になるという欠点も。ハウスネットギャラリーでは、施工会社が実際に建てた50件以上の【RC造】の事例を掲載しています。その事例を見て、RC造の基本から相場の価格帯などをまとめました。個性的で格好いい家を実現するために、RC造で建てる秘訣を探してみてください。実際にRC造で建てた事例は必見です!デザインセンスの高い家を建てる参考に、ぜひご覧ください。
RC造とは鉄筋コンクリート造のことで、柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されています。柱や壁の骨組みとなる鉄筋を組んだ型枠に、コンクリートを流し込み固めたものです。強度が強いため主にマンション建設などに使われています。
RC造の一番の魅力は、間取りの自由度が高く、大空間を作りやすいという点です。耐久性が高いため間仕切りなども少なく、リビングやダイニングを大空間にすることも開口を多くつくることも比較的、自由にできます。RC造は、デザインセンスの高い個性的な家をご希望の方に好まれる傾向にあります。
ここでは、まずお洒落なRC造の施工事例を参考に、人気のある間取りの秘訣などをご紹介します。
・驚きの大空間を実現できる
1~2階までの大きな吹き抜けも自由につくることが可能。開口部は大きな窓でもしっかり支えることができるため、窓から臨む風景を家に取り込めるのもポイント。家に居ながら眺望を楽しむこともできます。
・自由な造形はRC造ならでは
直線はさることながら、曲線も自由につくることが可能なRC造。外観を個性的で独創的なデザインにすることも可能です。例えば下の事例であれば、左側は曲線を使いホールのような設えですが、その隣は箱の直線、さらに空間を挟んで右奥は三角屋根が2棟並んだ、実に個性的なデザインに仕上がっています。凹凸が多くてもRC造自体の耐久性の高さを活かした外観デザインといえます。
・コンクリート打ち放しは大人気!
コンクリートの素材そのものをむき出しにして、その美しさを室内でも楽しめるようデザインも非常に好まれています。たとえば、型枠をコンクリート型枠用合板ではなく針葉樹構造用合板などにすると木目がコンクリートに転写され、堅く無機質なコンクリートに自然の柔らかさを表現することも可能。そんな少しのコツで温かみを感じることができます。最近では、コンクリート打ち放しでお洒落を演出する店舗も多くみかけるため、馴染みのある空間演出のひとつとして住宅にも取り入れられています。
そんな大空間などのデザイン以外にも魅力があるRC造のメリットを次ではご紹介します。(こちらから)
RC造はデザイン以外にも多くのメリットがあります。全部で5つ。耐震性・耐火性・遮音性・耐久性・気密断熱性に優れたRC造のメリットをご紹介します。
・耐震性:壁で家を支えるRC造は、揺れや強風に強い構造
鉄筋コンクリート(RC造)の建物は、地震に耐えやすい構造になっています。ビルなどの大型な建物に多く採用されていることからその耐震性の高さを物語っています。
鉄筋構造は引っ張る力に強く、コンクリート構造は押しつぶす力に強いという特性を組み合わせたのがRC造なため、揺れにより起こる引っ張る力や押しつぶす力に耐えることができるといえます。RC造はモノコック構造とよばれるコンクリートで作られた6面体で、建物が受ける外力を面全体でバランスよく受け止めるため高い強度を実現します。木造などの軸組み構造は、構造部材を点で接合するため、外力がその接合点に集中します。面と点でいえば、面で支える家の方が強いことは少しでもお分かりいただけるでしょう。
近年多くの災害によって、家族を守る家が壊されてしまうといったケースも珍しくありません。いつ起きてもおかしくない地震や風災に備え、強い家を建てるのも大切なことかもしれません。
・住宅密集地でも安心の耐火性
火災時の外壁温度は1,000度近いといわれますが、鉄筋コンクリートの場合、1,000度の高温に晒されても数時間は耐えることができ、全焼や倒壊を防ぐことができます。つまり、住宅密集地で火災が起きても耐火性の高いRC造は、木造と比べ建物が残る可能性が極めて高いということが言えます。それだけではありません。耐火性が高いRC造は火災保険料が木造住宅のおよそ1/3の費用というのも魅力的。
・遮音性の高さ
コンクリートは、外部からの音を遮断する遮音性の非常に高い素材といえます。隙間が少ないこともポイントですが、周囲が全てコンクリートのため音漏れしにくい家になるといえます。たとえば180mm厚のコンクリートの透過損失は、45dB(125Hz)~-69dB(4000Hz)の性能となります。交通量の多い道路が隣接していても、室内では低音がある程度響きますが深夜の住宅街並みの静けさを保つことができます。
※TLo=10 log I/T ≒ 20 log (f*m) - 42.5(dB)
I:入射音響エネルギー、T:透過音響エネルギー、f:周波数(Hz)、m:面密度(kg/平方メートル)、dB:デシベル、logは10を低とする対数
・気密・断熱性で過ごしやすい空間
柱や梁(躯体など)が一体になっているため隙間が少なく気密に優れている。そのため断熱材をしっかり施工すれば断熱効果も期待でき、少ないエネルギーで冷暖房も効率よく使うことができるので、光熱費がおトクになる可能性が期待できます。
・他の工法と比べても劣らない耐久性
木造住宅などと比べて耐久性が優れているのも特徴のひとつ。RC造の耐久性(耐用年数)は47年と言われています。
例)耐用年数 木造22年・軽量鉄骨 27年・重量鉄骨 34年
耐用年数とは、建物の使用可能年数を意味しますが、これは減価償却費の算定基準として決められた「法定耐用年数」です。建物の構造や用途によって異なる基準が定められ、法定耐用年数が建物の寿命というわけではありません。
ただ、RC造は他の構造に比べると耐久性が優れていることは間違いありません。
空間にこだわりを持った家を建てたい方に、RC造は最適な構法といえるでしょう。しかしRC造を建てる際に検討すべきは、ここまで上げてきた魅力だけではなありません。次はRC造で必ず考えるべきデメリットについてご紹介します。(こちらから)
災害の多い現代では頑丈な家を望む方も増え、家を建てる際に「RC造」を検討される方も多くいるようです。では、そんなRC造において把握しておくべきデメリットをご紹介します。
・何より「建築費」が高い!
コンクリートはそもそも材料費が木造と比べて高く、現場では枠組み(コンクリートを流す型のこと)の施工なども含めると、木造や鉄骨造より工期が長くなります。結果として、建築費は大幅に高くなることは事前に把握しておくといいでしょう。
・建物の重量が重いため、強固な地盤が必要
コンクリートを使っているRC造は木造住宅と比較して建物自体の重量が重く、その建築にはそれだけ強固な地盤が必要となります。建てたいと思った土地が軟弱な場合、大がかりな地盤改良工事で補強をする必要も出てくるので、大きな費用がかかってしまうこともあらかじめ想定して資金計画を進めましょう。土地を購入する前からRC造での建築を希望されている場合は、計画地の地盤の強さにも配慮して土地を探すことをおすすめします。
・湿気が多く結露・カビに要注意
新築から数年にわたり湿気が発生しやすいRC造は、カビなどに注意が必要です。特に空気がよどむ場所ではカビ等が発生しやすくなるため、ドアなどを開けて換気を充分に行うことが大切です。現在は除湿器やエアコンなども普及しているので、その除湿機能などを上手に活用して室内に湿気をためないようにしましょう。新築から数年間は結露やカビを防ぐための対策が必要になる点は、事前に把握しておくといいでしょう。
ちなみに、コンクリートはセメントと水が化学反応を起こして硬化する素材なので、固まる際に多くの水分を含んでいることになります。その水分が完全に抜けるまで数年かかるため、湿気が発生しやすいということです。
・外観の汚れが目立つので、定期的なお手入れが必要
コンクリートの外観は、放置していると特に日当たりの悪い部分に苔が生えたり黒ずみが見られます。RC造の外観をキレイな状態に保つには、壁はコンクリート打ち放しではなく、しっかり塗装しましょう。またその状態を保つためにも、定期的(できれば10年ごと)に塗装を塗り直すことで、新築時のようなきれいな状態が保てます。外観は家の顔と言われるほど重要な要素。せっかくこだわって建てた家ならば、外観はいつまでも綺麗な状態を保ちたいものです。
・取り壊す費用も高いので建替え時には要注意
定期的なメンテナンスでRC造の注文住宅は長持ちすると言われますが、建替えをする時は必ずきます。建築費以外にメンテナンス費用は気にされる方もいらっしゃいますが、RC造は家をメンテナンスする費用に加え、取り壊す場合の費用もしっかり考えておく必要がある家といえます。解体費用などが大幅に高くなることは、事前に考慮して計画をたてることをおすすめします。
・コンクリートの扱いは施工会社の腕によって大きく変る
コンクリートは温度管理が非常に難しく、施工会社の技術ひとつで善し悪しが決まってしまうと言えます。温度管理とはつまり、打設と呼ばれるコンクリートを型枠に流し込む作業がありますが、そのタイミングに合わせて生コン工場からコンクリ―トを搬出することが必要です。万一、現場での作業に手間がかかりタイミングよく流し込めない場合には、固まらないように木陰で調整する必要なども出てきます。冬場は、コンクリートが硬化する際に含まれる水分が寒さで凍結してしまうとコンクリート自体がもろいものなってしまうなど、非常にデリケートな素材といえます。経験や技術のある施工会社を選ぶことは、RC造の住宅を建てる際には本当に重要となります。
RC造は木造住宅とは異なる点で注意すべき点がたくさんあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。まずは事前に上記のような問題点を知り、しっかりとした資金計画を立て、依頼する会社についても慎重に選ぶことから始めてみてください。
続いては、メリット・デメリットを知った上で、RC造に適した家づくりの秘訣を少しだけご紹介します。(こちらから)
RC造だからこそ叶えられる間取りがあります。間仕切りの少ない大空間が実現可能なのも、耐震性や遮音性の高さも魅力のひとつ。そんなRC造のメリットを活かせる家づくりのポイントをご紹介します。
広くて開放的なリビングダイニングにオープンキッチンなど大空間だからこそできる間取りです。RC造は建物自体が頑丈なため、開口部を大きく確保することもできます。来客の多いご家族の場合、リビングだけではなく、そこから外に繋がるオープンテラスも来客をもてなすのに最適です。
現在人気のLDKから広がるテラスを作る際には、目的に合わせて計画することが大切です。来客を招いてホームパーティをよく行うご家族であれば、テラスからの動線でキッチンやリビングへの行き来がしやすい点や、洗面への動線も考慮するなど、来客も家族も使いやすい間取りとすることが重要でしょう。そんな大空間のLDKとテラスをお洒落に演出するためのポイントは、オープンテラスと室内の床をフラットにつなぐ事や、使用する素材も室内と外でわけるのではなく、床材を同じもので統一することで、テラスも含めひとつの大空間のように演出できます。さらに窓はフルオープンになるものを選ぶこともおすすめです。
遮音性の高いRC造では、趣味を存分に楽しめる空間づくりに適しているといえます。
例えば、楽器の演奏を楽しむことも、本格的な映画鑑賞ができる設備を整えて、シアタールームで映画を満喫することもできます。最近、話題のDIYなどの空間にも最適です。電動ドリルなど電動工具の音は何かと響くため、周囲へ配慮することが必要です。そんな音が気になる趣味でもRC造であれば、音を遮る効果が高いため最適な空間づくりができますね。
高齢になっていくご両親のことを考えて安心で安全な家をと望むものです。RC造は、断熱材をしっかり施工することで断熱性に優れた工法であるため、温度変化による身体への負担を軽減してくれることが期待できます。気になる世帯間の生活音もRC造であればさほど気にせずにすみます。同居の際に、双方が快適に暮らせるプランも、RC造の特性を活かすことができるでしょう。
また、プランの自由度が高い点でも有効です。最近では、適度な距離感を保てる二世帯住宅は人気があります。構造体がしっかりしているRC造は、仕切りに関係なく大きな区画で計画することができるため、両世帯で交流する目的の大空間を持つリビングをつくることも可能です。完全分離であっても、RC造であれば、その世帯で間取りを自由に選べます。広々した空間の二世帯住宅を実現したいというご家族にはRC造は最適ですね。
賃貸併用住宅は、通常の住宅とは異なり収益を得るための収支計画などが重要となります。空室率や賃料下落のリスクも、RC造は木造アパートなどに比べ低いと言われています。また賃貸併用住宅では音の問題も大きいですが、RC造は遮音性が高いという点で非常に有効です耐震性や遮音性、耐久性の高いRC造であれば、長く住まいとしても賃貸としても維持していくことができるでしょう。
RC造はダイナミックでお洒落な空間を演出するのに最適ですが、その上で、配慮した方がいいポイントもあります。それは「収納計画」です。
せっかくの大空間にマッチするインテリアを揃えても、生活感が見えてしまっては元も子もありません。リビング・ダイニングは得に日常生活で使うアイテムが多い場所。生活感を出さないためにも収納専用の部屋を設けることを検討しましょう。そうすることで、乱雑に置かれがちな細かなアイテムも一時的でもしまっておくスペースができます。きちんと収納部屋に扉を設ければ中が乱雑であっても、リビングからは見えません。
収納専用としてだけでなく、家事のコーナーとしても考えてもいいかもしれません。キッチンと洗面の動線はどの家でもよく検討されますが、その周囲に家事コーナーを作ることで、生活感のあるスペースが一カ所にまとまりリビングなどから隠すこともできるので、すっきり暮らせるでしょう。また家事コーナーを含めて間取りを工夫することで、より家事動線が快適におさまるはずです。
ぜひRC造の特性を活かした、完全オリジナルの空間づくりを検討してみてください。続いては、RC造で最も気になる建築費用に関して、金額が高くなる理由なども含めてご紹介します。(こちらから)
ここでは、実際にRCで建てられた事例をご紹介していきます。他の工法では実現しにくい大空間、周辺とは一線を画す外観など、お客様の要望をRC造で存分に叶えた事例をチェックしてみください。
LDKだけでなく、寝室、書斎、子供部屋などの個別空間まで全て繋げる選択をしたお施主様は、海外生活が長く、その体験を日本でもご自宅に活かしたいと思ったそう。
ただ繋げるのではなく、室内に高低差をつけて変化を持たせることで、各スペースの役割を明確にし、適度な繋がりと個室感を味わえる設計のセンスがみられる間取りです。
LDKから繋がるバルコニーの中庭は、室内と室外をはっきりと区切らない、バリのリゾートホテルをイメージして壁材・床材を室内の物と同じにしたのがポイントです。
室内では壁に天然石を使用したり、大型のオブジェや味わい深い小物や植栽に至るまで、どこを見ても目を引く印象的な空間が広がります。
インテリアに至るまでこだわり尽くし、気持ちの良い広々とした空間を実現されました。
通りに面したガレージと居住空間の間にある中庭もコンクリート打ちっぱなしの壁と大きな窓でシンプルなデザイン。中庭に面したガレージ側にもフルオープンにできる開口を設けているそうで、LDKから中庭そしてガレージまで大空間が広がります。
LDKから中庭へ続く窓は大きく吹き抜けになっているため、2階の寝室まで明かり届きます。2階の吹き抜けに面した壁はスライドできるよう仕掛け、適度に繋がる開放感がポイントでのびのびと暮らせるシンプルなお住まいが実現しました。
まさに外観からスケールの違いを感じる重厚な雰囲気はRC造ならでは。玄関アプローチの階段もまるで美術館やホテルのような特別な印象をあたえます。
玄関に入ると直線で無機質な印象ながら、奥の開口から緑が覗き奥行を感じられる。白と黒のコントラストが美しい玄関スペース。
敷地の高低差を活用し、南側から北側に向かい傾斜した中庭で、より広がりを演出している。リビングからと上段からの眺望で全く異なる景色を楽しめる開放的で、変化に富んだ住宅をRC造で実現したお住まいです。
窓が道路に向かって1つも見えていないプライバシーを確保した外観。深い軒やコンクリート打ちっぱなしでも、圧迫感の少ないすっきりした印象を与えます。
LDKはRC造ならではの大空間。和室とユーティリティまで繋がることで、日常の家事やちょっとした作業のしやすさを考慮した間取りがポイント。
バルコニーも大空間。この広さがあれば、ホームパーティも余裕で楽しむことができます。外側からの視界も遮る外壁で、プライベートを存分に楽しめます。
RC造ならではの大空間で生活の質をアップしながら、内部では木材とも組み合わせてスタイリッシュな中に温かみのあるデザインで飽きのこない住み心地を実現した住宅です。
RC造での一番のデメリットは、建築費用がどの工法よりも高い点。どれほど高いのかというと木造の坪単価の相場は60万~、RC造の場合相場として100万~、デザイン重視の場合は120万円以上は見込んでおいた方が安心でしょう。
上記にあるように、木造とRC造の建築費でそこまで差ができるのには明確な理由があります。ここではRC造の建築費用が高くなる原因を簡単にご説明いたします。
・工事期間が長くなる
コンクリートを固めるための型枠や鉄筋を施工することから、現場に入ってからの職人さんの手間(工事期間)は木造よりはるかに多く、その分、職人さんの人件費や工事費などが高くなります。
・地盤改良工事の有無によっても費用は大きく変る。
建物の重量があるため、それだけ強固な地盤が必要なRC造。大がかりな地盤改良工事が必要な場合も多く、建築費以外の部分で大きく加算される費用があるという点は理解しておくといいでしょう。
以上の2点が主な原因といえます。それ以外にもRC造で家を建てる場合、ハイグレードな家を実現できるため、高級住宅でよく採用されます。そのため間取りだけではなく細部にこだわりお金をかける方が多くいるようです。
・住宅設備は大空間に似合うデザイン性の高い住宅設備を選ぶ場合が多い
キッチンや浴室などの水廻りは、特にお金をかける方が多いそうです。キッチンであればアイランドキッチンで家族との交流をしつつ料理を楽しむご家族が目に浮かびます。浴室なども広い面積の場合が多く、その空間に合わせてホテルライクなものを選んだり、大理石などを使った洗面化粧台など細部にまでこだわることなど、住宅設備にこだわることが建築費用が高額になる原因のひとつとなります。
・建具も全体の印象に合わせて、デザインや素材感を重視する
床やフローリング、壁などもこだわたいもの。素材などひとつ・ひとつ組み合わせて上質な空間を演出することができます。たと例えば、玄関やお風呂などは大理石を使うことや、壁の一部にアクセントとして輸入タイルを使って柄を楽しむことも自由です。またおしゃれな空間をつくるのに、建具は重要なアイテムです。デザインや色にこだわることも、インテリアにあわせてポイントとなる建材もあれば、壁などと合わせて同色に塗装して存在感を消すこともできます。いろいろな楽しみ方がある建具は、既製品では選択肢が限られますがオーダー制作にこだわれば高額になります。
さて、ここまではRC造の建築費が高くなる理由を並べましたが、そんなこだわらずに頑丈なRC造で家を建てたいという方のために、少しだけコストダウンできるコツをまとめました。
・メーカーの規格住宅でコストダウンを図る
完全注文住宅ではなく、メーカーで作られている規格住宅にすることで、費用は多少なりとも抑えることができます。規格住宅とは、コンクリートの構造体を工場で作って現場で組み立てる工法のこと。主にハウスメーカーの商品である鉄筋コンクリート(RC造)の家です。規格住宅とすることで量産化ができ質と安全性が一定に確保され、コストダウンも期待できます。
それとは異なり、工事現場でコンクリートを流し込み構造体をつくる工法もあります。完全オーダーの注文住宅。現場でイチから施工するため、規格住宅より大幅に高くなります。
・住宅設備や建材のグレードを考慮する
全てをハイグレードにすれば、当然ですが費用は高額になります。インテリアなどはオーダーメイドではなく既製品に変更するだけでもコストダウンにつながります。住宅設備もグレードは複数から選べるため、よく検討して選ぶことが重要です。
コストを抑えてRC造を建てたいと望む方は、各メーカー等がだしている規格住宅を上手に活用することをおすすめします。
では、そのRC造を建てられるハウスメーカーや工務店を選ぶにはどうすればいいのか、続いてはそれをポイント7つのポイントでご紹介します。(こちらから)
ご自身の要望を叶えてくれるRC造が建てられる住宅会社を探すのは簡単ではありません。住宅会社を選ぶ際には、予め「予算」「デザイン」「構造」の3点について、ご自身の条件を明確にしておくことが大切です。ここでは、住宅会社を比較する上でのポイントをご紹介します。
鉄筋コンクリート造には主に以下のような構造・工法があり、各メーカーによって得意としている構造・工法がありますので、確認しておきましょう。
構造 | |
---|---|
ラーメン構造 | 柱や梁で枠をつくり建物を支える構造 |
壁式構造 | 壁で支える構造 |
工法 | |
---|---|
プレキャスト工法 | 工場でコンクリートを製造する工法 |
現場打ち工法 | 建築現場でコンクリートを建設現場で製造する工法 |
ご自身で予算感は予め決めておくことは重要です。それを決めた上で複数の会社から見積りを取得しましょう。1社ではその会社が適正な価格帯なのか分りません。必ず複数で比較しましょう。また、着工後の変更や追加によって、金額が変わる可能性もあるため、事前に追加分が出た場合の事も想定した予算計画は立てておきましょう。
検討する会社の価格帯を知ることも重要です。
間取りをどうするかの前に、RC造で建てた場合の平均的な金額はしっかり各社に質問しておくことが必要です。何がオプションになるのかどもしっかり確認しておくと、予算計画に響かないでしょう。
いざ点検や修理が必要になった時に、必要になるのがアフターサービス。もともとが手薄だと高額な費用がかかってしまう可能性もあります。できるだけ長い期間アフターサービスが続き、丁寧に対応してくれる会社を選びましょう。
確認するのは、保証期間や窓口体制について。法律で定められた瑕疵保険10年間の保証期間に加えて、独自の保証期間を設けているハウスメーカーもあります。20年、30年と長い期間保証してくれるハウスメーカーに依頼すれば、時間が経っても家を良い状態に保つことができるでしょう。また、アフターメンテナンス部門の有無も確認しておくと、万が一の際に安心です。
何より、営業担当者が信頼できることが重要です。ポイントは3つ。
・知識量は、質問に対して的確にこたえられるか・曖昧にしないか・専門資格を持っているか など。良い営業担当者は、住宅を建てること以外にも、税金や補助金など資金計画に関する知識も豊富です。
・提案力は、過去の実績が豊富か・打ち合わせの内容をしっかりまとめてくれるか などです。提案実績が豊富な担当者は、これまでの成功事例に基づいたアイデアを提案してくれることはもちろん、こちらが見落としている点も確認してくれます。度重なる打ち合わせの内容もしっかりとまとめ、共有してくれる担当者は信頼できるでしょうか。
・人柄は、親身になって対応してくれるか などがチェックポイントです。家を建つまでに営業担当者とは何度も打ちあわせをすることになります。その担当者の人柄に問題がある場合、ストレスを感じてしまう可能性も。また、契約を急かしたり、メリットとデメリット両方を説明してくれなかったりする場合は、少し注意が必要です。
ハウスメーカーの場合は、自社大工ではない可能性も考えられます。工事請負契約を結ぶ前に、必ず大工さんなどの質を確認しておきましょう。担当者に相談して現場見学ができれば、以下をチェックすることができます。
・安全対策が徹底されているか
・整理整頓されているか
・活気がある雰囲気か
・内部まで細かく見学させてもらえるか
・質問に応じてもらえるか
住宅会社には、それぞれデザインの得意分野があります。例えば、和風が得意な会社に洋風のデザインで依頼をしても要望が実現しにくいでしょう。カタログや過去の施工事例を見ると、得意なデザインの特徴が分かりますので、まずはWEBサイトなどを使ってチェックしてみましょう。
RC造を計画する際に依頼するハウスメーカーや工務店の中でもおすすめの会社を6社ピックアップしてご紹介します。各社のポイントなどもまとめておりますので、ぜひご計画の参考にご覧ください。
会社名 | 創業 | アフターサポート | 構造・工法 | RC造の施工割合 |
---|---|---|---|---|
相川スリーエフ | 昭和22年~ | 最大30年 | 壁式構造・ラーメン構造 現場打ち工法・プレスキャスト工法 | 非公開 |
カジャデザイン(大熊工業建築事業部) | 平成8年1月 | 30年長期保証 | 壁式構造・ラーメン構造 現場打ち工法・プレスキャスト工法 | 20% |
伊佐ホームズ | 昭和63年5月27日 | 10年~20年保証 | 壁式構造・ラーメン構造 現場打ち工法・プレスキャスト工法 | 15% |
ミサワホーム | 2003/8/1 | 35年~ | 壁式構造 | 5% |
大成建設ハウジング | 1969年(昭和44年)1月 | 60年間の長期保証 | プレキャスト工法 | 100% |
トヨタT&S建設 | 2003/10/1 | -- | 壁式構造・ラーメン構造 プレスキャスト工法 | 非公開 |
上記以外にも、知っておいた方がいいポイントがあります。各社の特徴をここからは簡単にご紹介します。どの会社がいいのかなどの質問はハウス仲人までお寄せください。
デザイン住宅を提供する相川スリーエフ。
なかでも、ライフスタイル・生活導線・毎日の心地よさが第一にあってのデザイン性だという強いこだわりから構造上の安全や高い住宅性能も含めて暮らしやすさを実現したバランスの良さがポイント。
建築部材もすべてフルオーダーにすることで、綿密なコストコントロールで家を建て、最大30年のアフターサポートとリノベーションで、建てた後の暮らしを守るという考え方で永くお付き合いのできる会社です。
デザインも性能もバランスよく実現したい、計画の進行などもしっかり管理して進めたいという方におすすめの会社です。
カジャデザインは、素材選びや工法・構造などの具体的な技術面はもちろんのこと、お客様の暮らしに合わせた心地よい空気感を実現するために、厳選した天然素材やオーダーメイドの住宅設備を提案して暮らしの質をアップさせることを重視しています。
長年住み続ける住まいだからこそ、デザイン性はもちろんのこと、住まいの安全性にも十分考慮しています。プラン検討の段階では、こだわりの素材の魅力を伝え、家づくりの流れから、工法・構造などに関しても丁寧に説明。お引き渡し後の保証やアフターサポートも充実しており、安心して家づくりに取り組んでいただける仕組みができています。
打ち合わせから楽しんで、ひとつひとつ選ぶ家づくりをご希望の方とは相性抜群です。
伊佐ホームズでは、既存の設計プランや施工システムに制約されることなく、すべてフルオーダーで家づくりが進められるのがポイント。
整地、地盤改良、近隣・庭との関係、構造・間取りから、内装の仕上げ、キッチンの仕様・取手ひとつに至るまで。お客様のご希望やさまざまな条件に沿って設計、デザインを行い、必要に応じて、オリジナルの家具も制作しています。
つまり、お客様の思いと価値観、美意識に適う家を一棟一棟、心をこめてつくりあげる会社です。伊佐ホームズでしか実現できない「完全オリジナルな家」をご希望で、こだわりの強い方には相性抜群です。
ミサワホームの住宅商品は木造ですが、フルオーダーでRC造の住宅を建てることもできます。精鋭のデザイナー集団「CENTURY DESIGN OFFICE」がRC造の注文住宅を担当。特定のデザインや商品に縛られない、自由な発想の家づくりを実現しています。
たとえば、外観はクールな雰囲気を醸し出すデザインながら、家族の集まるLDKを地下に配置して、外からの視線を遮断する間取り。逆に、LDKを2階に設置して、そのLDKとデッキテラスを繋げることで、解放感を存分に味わえるRC造ならではの注文住宅事例が多数あります。
自由な発想で、特別なデザイナーと一緒につくり上げるRC造住宅をご希望の方にはおすすめです。
1969年の大成建設ハウジング創業時に販売を開始した住宅『パルコン』。
コンセプトの「絶強」どおり、RC住宅ならではの自然災害や万一の火災に強い点が特徴。実際のところ東日本大震災において、宮城県内に建っていた全83棟のパルコンが「流失なし」という実績を持っています。
つまり、大手ゼネコンとして手がけたマンションやビルでつちかった建設技術を戸建住宅にダウンサイジングした住まい。また、60年間の長期保証を用意しているため、建物の価値や性能を維持しながらリフォームして次世代につなぐことも。長期間にわたり安心して生活できる住まいです。
RC造の強く長く住み続けられる住まいをご希望の場合は、大成建設ハウジングが最適でしょう。
トヨタT&S建設が採用しているのは、大成建設パルコンと同様のプレキャストコンクリート工法。プレキャストコンクリート工法とは、あらかじめ工場でコンクリート構造部材を製造し、現場にて組み立て完成させる工法です。他の工法と比較して施工現場の短工期や省人化などで優位性が高いことから、住宅だけでなく、非住宅(ディーラー店舗、工場など)での実績も豊富。
何より、お客様の要望に合わせて工期やコストは柔軟性を検討し、さまざまな工法をお選びいただけるような商品展開も魅力のひとつ。
RC造で検討する場合には、技術力の高さだけではなく、お客様のニーズに合わせた柔軟性も必要です。ぜひ検討する1社に加えてみてはいかがでしょうか。
さて、7社のRC造が対応できる住宅会社をご紹介しました。いろいろな特色を比較して選ぶのが難しいという感じる方も多いかもしれません。ここまでに、建築費用という誰もが気になる話題に触れてきましたが、RC造は建築費用が高いだけではありません。安心・安全な家づくりを目指す方も、デザイン性を一番に、他者とは異なる魅了的な家づくりを希望される方も、どの世代にも満足できるメリットがたくさんあります。
しかし、RC造で施工できる会社は限られています。コンクリートの扱い方を熟知し永く住める耐久性の高い住宅にするには、それなりの技術が必要です。経験豊富な施工施行会社を選ぶことが何より重要といえます。
せっかくの高額なお金でお洒落で安心な家を建てようという際に、建ててくれる施工会社で妥協しては、失敗する原因になりえます。実績豊富な施工会社を選ぶコツは、RC造で建てた実績がどれ程あるか。経験があるからこそ、提案するプランの質もコストを抑える方法も熟知しているはずです。心配ごとに対する回答も、工事が始まってからの対応も安心できるでしょう。しっかりした実績ある会社を選ぶことがRC造で家を建てる秘訣といっても差支えありません。
RC造で家を建てる際には、実績ある会社を選ぶことが成功する秘訣です!
早坂淳一 保有資格:AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人生命保険協会認定/シニア・ライフ・コンサルタント/
工務店支援プロジェクトに従事したのち、工務店にて営業を経験し、現在はハウスネットギャラリーを運営する第三者機関ネクスト・アイズ(株)にて、住宅コンサルタントとして活躍中。