住宅関連記事・ノウハウ
二世帯住宅ローンの注意点と対策
1 二世帯住宅ローンメリット・注意点
二世帯住宅ローンは、二世帯で協力して住宅ローンの支払いができるメリットがあります。でも、親子で住宅ローン契約を結ぶことは、良いことばかりではありません。後々、大きなトラブルの原因になることもあるのです。
親子で住宅ローンを契約する場合の注意点
代表的なトラブルが土地の所有権です。この問題が、親が亡くなったあと、兄弟間で深刻なトラブルの原因になることがあります。こうした、将来予測されるトラブルを事前に避けるためには前もって親が遺言状を用意することをはじめ、親の預金や保険など、土地以外の相続財産についても兄弟で分配の手続きをしておくことが必要です。
また、二世帯住宅は一般的に建物が大きくなりがちなので、メンテナンス関連の費用がかさみます。したがって、住宅を建築したあとに、主に誰がメンテナンス費用を負担するかを最初に決めておくと、後々のトラブルを回避できます。
せっかく二世帯が一緒に住み始めても、途中で折り合いが悪くなってどちらかが出て行くといったことが起きる場合があります。こうしたことを防ぐためには、まず予行演習が必要です。オススメは、住宅ローンを組む前に親子二世帯で生活してみることです。こうしたことが、後々のトラブルを防ぐために大きく役立ちます。
2 二世帯住宅の基本
二世帯住宅は基本的に老後の両親と住むことが多いです。したがって、高齢者に配慮した間取り(バリアフリー)にするのは、当然の配慮。それは特別な家や間取りをつくるのではなく、あくまで住みやすい家、暮らしを楽しめる家をつくることが、最も大切なことなのです。
高齢者にとって住みやすくやさしい家とは
高齢者にとって暮らしやすい家のアイディアについて解説します。
掲載事例:「親・子・孫三世帯がそろって暮らせる住まい」(施工会社:中鉢建設株式会社)
二世帯住宅で暮らしやすさを考えるポイント
玄関
高齢になっても安全に出入りできるように、自然光が入るような玄関にしましょう。足腰が弱ってくると、玄関の上り下りでバランスを崩しやすくなることから壁側に手すりをつけたり台を置いたりすることで、安全に靴を履けるようになります。
寝室
寝室とトイレの配置を近くすることで、夜中にトイレに立つことが多くなっても快適に過ごすことができます。
和室でもベットに
どちらかというと和室を好む高齢者が多いのですが、年を重ねていくと日々の寝具の出し入れがたいへんになってきます。和室でも、ベットを設置できるような広さにしておくと、後々収納部分をなくすようなリフォームをする必要がなくなります。
廊下
いずれ足腰が弱くなることを想定して、車椅子でも移動できるような廊下幅にしておきましょう。手すりについては、健康でいるときは左右どちらに障害が残るか予測できないだけに、手すりをつけても問題ない強度になるような壁下地にしておくと後々追加工事の手間が減ります。
階段
万が一階段で転倒しても、階下まで転落する危険性が少ないUターン型の踊り場がある階段が安全です。もちろん、手すりは必須です。
将来的な生活を考え、バリアフリーも見越した計画が大切
二世帯住宅を検討するとき、計画時には親世代が現役世代の若さだとしても、長い期間住むことになります。さらに、いずれ子世帯も高齢者になり、介護などが必要になります。二世帯住宅を建てるときは、設計段階から介護をうけることを考えたバリアフリー構造・壁の下地処理・ゆとりある生活動線を検討し、かつ設計上の優先順位を高くすることで、リフォームも含めた総合的な建築費を節約することにもつながります。
あわせて、設備面で考慮すべきことは、室内各所の温度・湿度をできる限り均一に保つために、窓を始めとする開口部(玄関ドアやサッシ)の選定、高性能断熱材の選定、その躯体性能を生かす適切な空調設計が重要です。適切な室内温熱環境(人が住宅に住まう際、暑くもなければ寒くもない「快適」と感じられる温湿度環境)を維持することで、死因の大きな割合を占める循環器疾患リスクが減るという調査結果があります。
健康で長生きするための健康リフォームのすすめ ... - 国土交通省
適切な室内温熱環境をもつ住宅では、開放式石油ファンヒーターや厚手の室内着、こたつなど、冬の寒さに備えた家電・衣類が不要になるので、春~秋に暖房器具や防寒資料を収納しておく空間が不要になる、というメリットも。その分、季節商品の収納空間を減らすことができるので、それだけゆったりした生活動線の間取りが検討できるようになります。
高齢者に配慮した二世帯住宅は、検討初期段階ではついついバリアフリーを意識してしまいますが、設計段階から適切な温熱環境を検討することで、将来的な医療費・介護費用を含めた生活費増大のリスクを減らすことができるのです。
年金2,000万円不足問題に代表される、かつてないほど将来的な年金不安が蔓延している現在。設計段階から、将来的に生活費が増大する可能性を減らせる家づくりを検討しておくことが大切です。
3 将来を見越した二世帯住宅の計画は完全分離型が最適
二世帯住宅に住み始める時期によりますが、遅かれ早かれ親世帯は亡くなり、住宅の片方が空き家になることは避けられません。住み始めたときからそうしたことを予想して、将来親が亡くなってから賃貸住宅として他人に貸すため完全分離型二世帯住宅を検討する方も多いのではないでしょうか?
そうした場合、完全分離型二世帯住宅であれば、空き家になった後でも、ちょっと手直しをするだけで賃貸に出すことができます。
しかし共用型二世帯住宅では、そううまくいきません。そのまま住み続けるには広すぎて無駄なスペースが多くなるでしょうし、おおがかりなフルリフォームをして人に貸すためには、たいへんな費用と手間がかかります。
こうした問題か発生する大半の二世帯住宅は、親世帯がまだ若いうちに同居をはじめているケースが多いので築年数がかさんでいます。そのままでは、住宅の耐震性や耐用年数からも、おいそれと他人に貸すわけにはいきません。
したがって、共用型二世帯住宅の場合、世帯を分離する工事や大がかりなリフォーム、場合によっては建て替えが必要になります。そういった点を踏まえると、初期の建築費用が1.5倍~2倍以上になるとはいえ、完全分離型二世帯住宅で建築計画を進めたほうが、後々の有効活用に負担がかからない、ともいえます。
二世帯住宅は親・子でシェアする以外に、節税対策として有利な面はゆうりになりますが、二世帯住宅の計画は、親世帯と子世帯の心理的距離をきちんと間取りに反映させることをはじめ将来の活用方法や毎年の税金対策に至るまで、計画段階からしっかり検討しておく必要があります。
二世帯住宅の新築・建て替えにあたっては、事前に専門家に相談しながら計画を進めていくことをおすすめします。
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