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いい家は「場」と「時」そして「私」を考えることが大切!
2022年 あけましておめでとうございます。昨年に引き続きまして本年もまたご愛読ありがとうございます。「安全」と「安心」とはなにか?を改めて思い知らせてくれた2021年でした。
今年はぜひとも平穏で建設的な年にしたいものです。このコラムでは「いい家」とはなにかを追い求めてまいりましたが、長すぎる新型コロナの災禍で、現実の住宅設計監理の現場のみならず、相談窓口に入るいろいろな質問や相談などの事例にコラムの話題は不自由をしませんでしたが、こんな中、本当に「いい家」とは一体なにか?を改めて考えさせられます。
1 本当にいい家は、高性能などではなく「長く住みやすい」家では?
まず「いい家」はどうやってつくるのか? 多くの人が「地震に強い家」「設備がいい家」「高気密高断熱の家」「しゃれたインテリアの家」「収納が多い家」「段差の無いバリアフリーの家」そして「ホルムアルデヒドやアスベストのない健康な家」などと言われて決めて、あっと言う間にできるそんな“いい家”に引っ越して住むようです。
しかし2、3年が過ぎたころ、多くの人が「なにかが欠けている?」「とにかく愛着が持てない」果ては「“ビニール袋”の中に住んでいるみたい」などと思うようになると言うのです。あるいはそんなことにも気付かず、これが当たり前と何年も暮らし、子どもたちもそれが当たり前で育っているとしたらやはり問題です。
<写真:家族みんなの「私」だけの家(G様邸2000年完成:設計 天野彰)>
本来の「いい家」とは、夫婦、親子が暮らしやすい「家族関係がいい家」「木の香りがする家」「気持ちのいい家」、そして「長生きできそうな家」、 シアターリビングのような「愉しめ遊べる家」「創造的な家」で、最近は「老後の暮らしにやさしい家」「介護しやすい家」そして「メンテナンスをしないですむ家」ではないでしょうか。しかし多くの人はそんな家づくりに疲れて、結局名のある「メーカーなら安心」とか、なんでも「安ければいい」となってしまうのでしょうか。
2 大切なのは家づくりの想いを理解し共に悩んでくれる設計士に出会うこと
まず「場」とは家の建つ「場所」、気候はもとより、土地柄、そして街並みなどの「場」にあってこそ家は“根付く”のです。
「時」は、場所も人も次第に時とともに変化し、家族も変わります。若い夫婦がついには老後の暮らしともなるのです。この「時」の移ろいを考えた柔軟な家になっているかどうかです。
そして何より最後は、「私」です。そこに住む「私」自身の満足感です。そう、残念ながら「夫婦」は決して一つではないのです。「親子」も同じです。夫と妻のそれぞれの満足が重要です。この「場」と「時」と「私」のすべてが満足してはじめて本当に「いい家」と言えるはずです。
1年の計は元旦にあり。と言います。新年の幕開けを元旦と言いますが「元」は初め、「旦」は文字通り、水平線から日が出る姿です。元旦の「おめでとう」のあいさつは「目」ではなく「芽」で、「お“芽”出とう」まさしく新しい芽=生命の誕生で、その息吹を表すとも言われます。
<家族と設計者と考えで妻「私」のプラン、子供の動線で変わる(図:天野彰)>
「私自身のいい家」をともに考えてくれる設計者探し
この正月はそうした「私」の「場」と「時」を思い、住まいづくりの心の芽を持つことが「いい家」実現の息吹なのです。家の形などを選ぶ以前に、まずは「私」の本音を考え、世界に一つしかない「私自身のいい家」を思うことなのです。
まずはその「私自身のいい家」を一緒に考えてくれそうな建築士を探すことです。それは家づくりを任せるのではなく、デザインや設計図を書いてもらうだけではなく、自身の思いを理解し共に悩んでくれるかどうかを探ることです。さらに専門家として家づくりの意見やアドバイスをしてもらい、家族の意見を聴いてまとめ、時には仲裁もしてくれそうな人を探すのです。なかなか大変そうですが、勇気を持って事務所を訪ね、過去の作品などを見せてもらえば自身に合ったいい設計者に必ず逢えるはずです。
<写真:20年経った、2002_0718完成のK様邸のカンパーイ!(写真:天野彰)>
こうして初めて世界に一つだけの「私の家」の設計図が出来上がり、その設計図で複数の施工者に見積もりをしてもらい、それらを見くらべながら価額と内容の適切な施工者を選ぶことができるのです。
施工者やメーカーなどが書いた設計図や仕様で見積っても他の施工者との比較しようがないのです。やはり第三者の設計者を選んで、設計図の作成と、できれば完成までの工事の監理チェックまで頼むことが、「安全で安心で安価な“いい家”」を一緒につくることの「芽」となるのです。
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