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活かすリフォーム 「個」で失われる家族
家族を「個」としてとらえることで、家族が一緒に居る“時”と“場”を多くつくることは、このIT時代の住まいの現実的な姿になるかもしれません。そこで大切なことは、やはり住まいにおいての、その“時”と“場”の演出ではないでしょうか?それもハロウィンやクリスマスなどのようなシーズンの当たり前のことではなく、毎日がサプライズのようなイベントが必要となってくるのです。
1 「間取り」から「場取り」や「時取り」のプランニングにする?
友人の映画やドラマなどの演出家によると、演出は現実から遠ざける奇想天外なものではなく、あくまで現実に寄り添いながら一瞬それを忘れさせ、次元の違う空間や事象を想起することが大切と言います。
家族であることの、それぞれのきっかけや記念日はもちろん、家族が共有できる話題やできごとをあえてイベントにするのです。するとただ通り抜けるだけだったリビングが華やいだ空間となり、皆が足を止め団らんが生まれるのです。これにより家族が忘れていたものを思い出し、潜在的な活きる喜びや勇気を取り戻してくれるのではないかと思います。
しかし現実は家を建てる際、「間取り集」などの既成のプランニングによって、人々の生活もまた定型化してしまい、そのことで子どもたちの個室化や引きこもりを招くことも多いと言われています。そこで、当たり前の日常の2LDKの中で家族のイベントをあえて、演出するのです。そのためにはまず現在の間取りを忘れ、そこに家族の「場」を設け、さらにその「時」をつくるのです。まさに今の家の「間取り」を「場取り」と「時取り」に変えるのです。
2 スケルトンリフォームは家族の「場」と「時」を取り戻す
今の住まいから「間取り」を取るとただの“洞穴の家”になります。あの人類創始の洞窟の家です。そこで夫婦や親子は勝手気ままに暮らすのです。しかし夜は寒く暗く、焚き木を焚き炉端をつくり、そこで調理をし、囲んで自然の“団らん”が生まれるのです。その原点は今も本質的に変わらないのです。
2LDKでは子どもたちがあっと言う間に成長して出て行き、その空いた子ども部屋に夫か妻がさっさと移り住んで“夫婦の個室化”も始まるのです。本来の住まいは夫婦が生きて住む「場」なのですが・・・、たまたまの子育てで、夫婦の「場」が狭まりますが、夫婦中心の家族の生活の「場」と考えると、住まいの「時のプランニング」が見えて来るのです。
3 吹き抜けの“体育館住宅”が家族の「時取り」プラン
複雑な現在の住まいは、その家族は勝手な「時」に、勝手な行動をする「場」となり、時に一緒に行動する「場」です。これは決して寝るための「個室」の間取りではなく、むしろ家族の「時」の間取りとも言えるのです。
住む人のすべての生活と人生の時ごとに対応する柔軟なものでなければなりません。家族の生活と人生に営々とフレキシブルに順応するシンプルな家とは、間仕切りのない体育館のような2階まで吹き抜けの梁だけがある大きなワンルームの家です。そこに家族の成長と変化に合わせて床を乗せ、壁を設け、簡単にプランをつくって行けばいいのです。
次回は都市での家づくり。いかに安く安全につくるかを考えてみましょう。
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