住宅関連記事・ノウハウ
工務店の家づくりの特徴
ポイント1・こんなことに注意して工務店で家づくりをしよう
工務店と家を建てるか、ハウスメーカーで家を建てるか、建築家と世界に1棟だけの家を建てるか。
おおよその方向性を決めながら、複数の住宅会社を選定し、その住宅会社・担当者が自分たちにとって大切な家づくりを任せられる相手かどうか確認します。
工務店・ハウスメーカー・建築家(設計事務所)は、それぞれ特徴があり、どのパートナーを選ぶかは、家を建てるみなさまの家づくりに関する考え方で変わってきます。
工務店との家づくりの特徴は【商品】というものが存在しないことから、自分たちが主導権をもって家づくりに取り組むことができる点です。つまり【一品生産】という言葉が示す通り、自分たち家族だけの家を自由に建てることができるのです。 工務店との家づくりは、家づくりに時間と労力を惜しまない方であれば、家づくりの過程も含め、大きな充実感と満足感を得ることができるでしょう。
反面、家づくりに確固とした想いがなく、すべてに提案を求める方にとっては、工務店の提案力、打ち合わせのスピード感に不満が募ってしまいます。
工務店との家づくりとは、みなさまご自身の家づくりにおいて、ともに悩み、苦しみ、そして笑いと充実感。つまり工務店と一体感をもって家づくりに取り組むことなのです。そのかわり、みなさまご自身の時間と手間(コスト)をかけた分、一般的に建物のコストが下がる(価格が安い)という見返りがついてきます。
主な工務店の分類
工務店には、会社規模からみると、大きく6つに分けられます。
1 地域に密着した小さな工務店
社員のほとんどが設計担当か現場監督という、会社規模が3人~10人程度の工務店。
大半の工務店はここに属します。このような工務店は、大工さんをはじめとする職人さんを自社で抱えているわけではありません。
施工技術の水準や提案力、プレゼンテーション能力は工務店によってピンキリです。
良い工務店に巡り会うことで、満足いく家づくりになります。
2 大手ハウスメーカーの下請工務店
大手ハウスメーカーの下請け工事がほとんどで、まれに自社で直接工事を請け負う工務店。
ハウスメーカーの厳格な品質基準の住まいを手がけてもらえる可能性が高い工務店です。
ただし、プレゼンテーション能力や提案力は、大手ハウスメーカーと比較すると強いわけではありません。
3 フランチャイズ型工務店
ローコスト住宅を主に手がける工務店。各ローコスト系フランチャイズの規格に沿った住宅を建てます。
商品力・提案力やプレゼンテーション能力はフランチャイズ元の商品力・提案力に沿った内容になります。
4 展示場やショールームを運営する工務店
独自に展示場やショールームを運営して、営業担当や設計担当も社員として抱える工務店。
パースや模型を使って、ハウスメーカーと遜色ないわかりやすいプレゼンテーションが魅力。
さらに、最新の建築技術や住宅の省エネ技術にも対応している工務店も多く、営業担当や社長との人間的な相性が合えば、満足いく家づくりになります。
5 建売分譲を中心に請け負う工務店
建売や建築条件付建物を請け負う工務店。パワービルダーもここに属します。
頼まれれば注文住宅も請け負いますが、コストの制約などが極めて厳しいことから、建物品質や満足度を考えると、安価なコスト面を除き積極的におすすめできません。
6 公共事業も請け負う工務店
学校や総合病院、行政施設などの公共工事も請け負う工務店。特定建設業許可をうけていることから、木造建築だけではなく、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)も建設できます。
賃貸マンションなどの大規模な建築も得意です。
工務店との家づくりにあたってのチェックポイント
Check1 建築予定地から近い工務店
工務店と家づくりをする場合、建築予定地から近い工務店を探すことが大切です。
(できれば車で30分以内) ほとんどの工務店は地域での評判を大切にします。
それは、その地域での生き残りをかけているからなのです。
したがって、施工はもちろん完成後のアフターメンテナンスに至るまで、施主の信用を落とすようなことは本能的に避けることが大半です。
特段な事情もないのに遠くの地域だけで施工をする工務店は、地元で営業できないなんらかの事情があると考えても差し支えないでしょう。
Check2 営業担当、社長と対面して、事務所も訪れてみよう
工務店との家づくりの成功の秘訣は、担当者そして工務店自身(社長と会社)との相性です。
残念ながら、その工務店と相性が合わなければ、いい家づくりはできません。
相性を確認するには、実際に事務所に訪れ、担当者、社長、そして事務所の雰囲気を確かめましょう。
できれば許可を得て新築現場に出向き、仮設トイレや廃棄物の分別といった、近隣への配慮をチェックすることも大切です。
最初のうちは、もちろんメールだけでのやりとりでも構わないのですが、直接顔を見て実際に言葉を交わさなければ、本質は理解できません。
実際に事務所や新築工事の現場を見ることで、その雰囲気で会社の本質も見抜けます。
Check3 工務店の得意なもの・不得意なものを理解する
『工務店であれば、なんでも建てることができる』というのは大間違いです。
それぞれの工務店には、得意なもの・不得意なものがありますが、カタログなどの案内がない工務店が大半なので、得意なもの・不得意なものがひとめでわかるわけではありません。
施工事例を見せてもらったり、積極的に質問することで、工務店の得意なもの・不得意なものを理解しましょう。
得意なもの・不得意なものがわかる質問として、たとえば多く手がけている工法・もっとも多い新築価格帯・多く手がけている仕様・内装(たとえば自然素材や省エネへの取り組みなど)です。
もっとも多いこと、多く手がけていることが、すなわちその工務店の得意分野です。
Check4 プランと見積もりは時間がかかるもの
工務店は、決まった商品・仕様がないことが大半です。
よって、プランや見積もりについても、ひとりひとりのお客さまに対し、ひとつひとつ手作業で作成・提案するところが大半です。
ハウスメーカーと比較したとき、ハウスメーカーと比較してプラン提案が遅い、見積もりが遅い理由とは、こうした作業のひとつひとつの積み重ねによること多いのです。
要望を伝えてから最初のプランが出てくるまで、もっとも早くても2週間程度の時間はかかります。
この期間を焦らせると、良いプランはできあがってこないことが多いので、焦らずじっくり取り組みましょう。
Check5 複数の工務店と比較する場合、事前に伝えておくことが大事
工務店との家づくりは、お互いの信頼関係によります。
つまり、社長、大工さん、職人さんを含め、お互いの心意気で仕事に取り組みます。
したがって、複数の工務店やハウスメーカーにプラン作成・見積もりを依頼するときは、相手先の工務店名・ハウスメーカー名まで出す必要はありませんが、複数の住宅会社にお願いしていることは、あらかじめきちんと伝えておきましょう。
もっとも嫌がられるパターンとは、どんな状況かわからず、何度もプラン・見積もりを提案したあげくに断られるケース。
意中の会社1社単独で最後までお願いする方がいないことは、工務店としてもよくわかっていること。
とはいえ、最終的に選ばれたとしても、その住宅会社の選考過程で信頼関係をなくしてしまうと、いい仕事には結びつきません。