数寄屋風住宅とは?
数寄屋造り(すきやづくり)は、日本の建築様式の一つであり「茶室がある建築」を指したものです。数寄屋造りの「数寄」が、和歌や茶道、生け花を始めとした風流なことを好むことを意味しています。現代では、「茶室がある建築」だけにこだわらず、竹や土壁、杉皮などの自然素材を取り入れ、これらの素材感を活かした和風建築のことも「数寄屋風住宅」と言われたりします。繊細さの中に風流が感じられる数寄屋風住宅は、庭で四季を感じられたり、外の景色を借景として楽しむような間取りになっていることもあります。
数寄屋風住宅の特徴
数寄屋風住宅の特徴は、自然との調和と、余計なものを取り入れないシンプルさです。
前述したように、数寄屋風住宅は竹や土壁、杉皮など自然素材を建材として使います。竹や杉を切り取らずに丸太のまま使ったり、竹の節を活かして建築したりと、自然と調和し、素材の良さを活かしていることが特徴です。数寄屋風住宅でよく取り入れられる土壁は、左官技術が大いに活かされています。
また、床の間はシンプルで段差が少なく、自由に設計されます。長押(なげし:柱と柱をつなぐ横木)を省略したり、間取りも無駄をそぎ落としたものが多いです。そのシンプルさに物足りなさを感じてしまう方もいますが、このシンプルさこそが数寄屋造りの特徴であり、日本古来から続く気品ある佇まいなのです。
現代では、数寄屋造りの様式をさまざまな場所に取り入れ、昔ながらの日本の繊細さや美しさを楽しむ方が増えています。
現代で数寄屋風の住宅を建てるなら
現代では、純和風住宅や和モダン住宅などの住宅で、数寄屋造りの考え方が取り入れられています。今は和風住宅に限らず、自然素材を住宅に取り入れることが人気ですよね。木目や石材、珪藻土や漆喰など、現代に合った自然素材を使い、数寄屋風住宅を再現しています。
こういった自然素材に無駄な加工はせず、素材そのままの良さを引き出し、経年変化を楽しめるのも数寄屋風住宅の大きな魅力です。
無駄を極限までそぎ落とした間取りを取り入れ、質素でありながらもみすぼらしくはない、洗練された美しさを表現できます。数寄屋造りは、日本が誇る歴史的な建築様式であり派手さはないものの、質の良い住宅になります。自然と調和した洗練された美しさを感じることができる、唯一無二の住宅になるでしょう。