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子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラスが新登場!
政府は11月10日に閣議決定した2023年度補正予算案に、住宅の省エネ化支援を強化する補助事業を盛り込みました。今回は、その「子育てエコホーム支援事業」について簡単に解説します。
子育てエコホーム支援事業とは
この制度について、国土交通省の告示内容を見てみると以下のように記載されています。
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図る。(引用:国土交通省)
この支援事業は子育て世帯や若者夫婦世帯に対しての制度。
はじめて自分の家を建てる方々については、高い環境性能をもつ住宅で月々の光熱費を抑えながら末永く快適に過ごせるように、国としてもいろいろな支援を約束しますよ、ということです。
〇子育て世帯
申請時点において18歳未満(令和5年4月1日時点で)の子どもを有する世帯。(すなわち、2005年4月2日以降出生)
※ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1日時点で18歳未満(すなわち、2004年4月2日以降出生)の子どもを有する世帯も含まれます。
〇若者夫婦世帯
申請時点においていずれかが39歳(令和5年4月1日時点で)の夫婦である世帯。(すなわち、1983年4月2日以降出生)。
※ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち、1982年4月2日以降出生)の世帯とする。
また、「2050年カーボンニュートラルの実現」とありますが、簡単に説明すると、
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるという意味です。
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
少し難しいですが、「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林・森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
※ここでの温室効果ガスの「排出量」「吸収量」とは、いずれも人為的なもの
また、先進的窓リノベ事業や給湯器省エネ事業など、国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携で実施しているリフォーム支援も、引き続き予算を確保して一体的に実施していくことになりました。
子育てエコホーム支援事業の制度内容について
子育てエコホーム支援事業の新築の制度内容は、子育て世代・若者夫婦世帯が対象で、ZEH住宅(強化外皮基準と再エネを除く一次エネルギー消費量20%減)に加え、新たに長期優良住宅に対する補助も始まります。
<補助額>
長期優良住宅 | 100万円/戸 |
ZEH住宅 | 80万円/戸 |
- ・対象となる住宅の延べ面積は、50m2以上240m2以下とする。
- ・土砂災害特別警戒区域又は災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域又は地すべり防止区域と重複する区域に限る)に立地している住宅は原則除外とする。
- ・立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域又は浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、3戸以上の開発又は1戸若しくは2戸で規模1000m2超の開発によるもので、都市再生特別措置法に基づき立地を適正なものとするために行われた市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅は原則除外とする。
- ・(a)かつ(b)に該当する区域に立地している住宅は原則半額
(a) 市街化調整区域
(b) 土砂災害警戒区域又は浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域に限る)
リフォームについても、省エネ改修、および同時に実施する子育て対応改修やバリアフリー改修などが対象になります。リフォーム補助額の上限は20万円ですが、子育て世代・若者夫婦世帯は上限が30万円に。既存住宅の購入や長期優良住宅化リフォームも加算措置の対象となります。
申請期日とあわせて事業者登録している会社かもチェック
新築、リフォームのいずれも2023年11月2日以降に対象工事に着手することが条件で、交付申請は遅くても2024年12月末を予定しています。
補助金の申請は、新築住宅を建築する会社・販売する会社・リフォーム工事を行なう会社である住宅事業者が、その住宅を取得する住宅取得者の委託を受けて補助事業者となり、補助金の申請および交付を受けるものです。
ただし、交付された補助金は住宅取得者に還元される必要があり、申請にあたっては還元方法について、あらかじめ両者で同意を行うことが条件となります。
なお、住宅事業者は、本事業の参加にあたって所定の手続きにより「補助事業者」としての登録(「事業者登録」という。)を受ける必要があり、事業者登録後に交付申請する建築工事またはリフォーム工事が補助の対象となります。
なお、和4年度補正予算の「こどもエコすまい支援事業を含む住宅省エネ2023キャンペーン」において事業者登録を受けている住宅事業者は、通常よりも簡易に登録が可能なようです。(交付申請を行うためには、事務局が定める手続きに従い、本事業への事業者登録が必要となります。)
もし、こちらの制度のご利用を検討されている場合は、住宅事業者が事業者登録をしているかも含め、早めに確認しておくことをおすすめします。
ギリギリで動かず早めの計画で、申請手続きは余裕をもって行いましょう!
補正予算では以下の項目も盛り込まれました。
- 環境省の先進的窓リノベ事業(断熱的への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業)には1350億円
- 給湯器省エネ事業(高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金)には580億円
いずれの補助金も11月10日以降に工事請負契約や給湯器の売買契約などを締結したものが対象となります。
経済産業省では、新たに既存賃貸住宅の省エネ化支援に185億円を計上。賃貸住宅に備え付けられている既存の給湯器をエコジョーズ、エコフィールに交換する場合、1台あたり5万円もしくは7万円を支給します。
これらの事業は「住宅省エネ2024キャンペーン」としてワンストップで申請できて、「住宅省エネ2023キャンペーン」に登録している事業者は継続して参加できます。
なお、交付申請はそれぞれ2024年3月以降を予定していることから、これから窓リノベ、給湯器交換を検討しているみなさまは、「住宅省エネ2023キャンペーン」または「住宅省エネ2024キャンペーン」に登録している事業者かどうか確認することをおすすめします。
予算には上限があるため早めの計画が必要
今後も、子育て世帯や若者夫婦世帯に対しての支援制度は継続していくものと考えられます。ただし、政府が掲げるカーボンニュートラル推進に向けた支援の条件はより厳しく、かつ予算上限額に達する期間も短くなると想定できます。
昨年実施された「こどもエコすまい支援事業」については、最長で12月末までの申請期限となっていましたが、申請受付開始からおよそ6カ月で予算上限額に到達して終了となりました。
2022年度に開催された「こどもみらい住宅支援事業」では、駆け込み申請によって申請件数がたった12日間で75%から100%まで至り、補助金をもらえなかった消費者による苦情が殺到したこともあったそうです。
よって、新築をご計画のみなさまにつきましては、過去2回の予算上限額到達状況を見る限り、子育てエコホーム支援事業補助金制度開始から6か月程度で予算上限額に達することが予測されます。
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